政府はキャッシュレス決済比率を2025年までに40％程度まで引き上げることを目指し、ポイント還元事業など2019年から様々な取り組みを行ってきました。2年半経過しましたが、キャッシュレス化はどこまで進んだのでしょうか？
そこで、今回は昨年に引き続き「キャッシュレス決済」についてリサーチしました。
| 調査方法 ： 長崎県内に居住する18歳以上男女をモニターとするwebアンケートサイト「リサチャン」で実施。 調査期間 ： 2022年4月1日（金）～4月7日（木） 回答者数及び属性：409名【年齢】30歳代以下75名、40歳代89名、50歳代138名、60歳代以上107名 |
普段の買い物や飲食の支払いの際、現金とキャッシュレス決済のどちらを利用することが多いか尋ねたところ、「キャッシュレス決済が現金より多い」が57.2％と6割近くを占めています。これに「現金とキャッシュレス決済はほぼ同じくらい」（18.8％）と「現金がキャッシュレス決済より多い」（18.1％）がほぼ同数で続き、「現金のみでキャッシュレス決済はまったくしない」は5.9％にとどまりました。
今回の結果を、調査を始めた19年４月（消費税率引上げ前）、19年10月（引上げ直後）、1年前の21年4月と比較すると、以下の通りとなります。
「キャッシュレス決済が現金より多い」の割合は、19年４月は20.5％、10月は32.5％、21年4月は41.9％と着実に増加し、今回初めて5割を超えました。また、「現金がキャッシュレス決済より多い」の割合は、19年４月には45.8％だったものが10月には35.5％、21年4月には29.7％となり、今回は18.1％と2割を切りました。
一方、「現金のみでキャッシュレス決済はまったくしない」については、19年4月には12.5％だったものが、10月には5.3％となり、その後は約5％台で推移しており、キャッシュレス決済へ移行しない人が一定数いることがうかがえます。
年代別でみると、いずれの年代も「キャッシュレス決済が現金より多い」が増加しており、キャッシュレス決済が一層浸透していることがうかがえます。
利用頻度に関わらず「キャッシュレス決済をする」と回答した人（385人）にその理由を複数回答で尋ねたところ、「ポイントが貯まるから」が80.5％と最も多く、次いで「スムーズに会計できるから」が71.4％となっています。このほかでは「キャッシュレス決済のお店が増えたから」が41.6％と比較的多く、「現金をあまり持ち歩かないようにしているから」が22.3％となっています。
「その他」：「小銭を使わなくて済む」「現金決済より割引がある」など
「現金のみでキャッシュレス決済はまったくしない」と回答した人（24人）にその理由を複数回答で尋ねたところ、「お金の動きが見える・管理がしやすいから」が79.2%と最も多く、以下「キャッシュレスのための登録や発行が面倒だから」（58.3％）、「お金を使いすぎないから」（50.0％）、「不正利用や個人情報の漏洩が心配だから」（45.8%）、「キャッシュレス決済の仕方がわからない・煩雑だから」（41.7%）と続いています。
これまでにキャッシュレス決済を利用したことのある場所を尋ねたところ、「スーパー」（82.6%）と「コンビニエンスストア」（80.8%）が8割を超えました。このほか、半数以上の人が利用したことのある場所としては「飲食店」（67.8%）、「ショッピングセンター」（61.8%）、「ドラッグストア」（61.3%）、「衣料品店」（54.0%）、「家電量販店」（50.9%）があります。
また、自由回答では、「支払い金額が事前にわからないうえ、金額が高額になる場合があるので、『病院・薬局』はキャッシュレス化が進んで欲しい」とのコメントが多数寄せられました。
「その他」：「ホテル」「高速道路」「ガソリンスタンド」「自動販売機」など
キャッシュレス決済でよく利用する決済手段を複数回答で尋ねたところ、「クレジットカード」が約8割（79.0%）で最も多く、これに「スマートフォンを利用した決済アプリ」が66.0%で続いています。このほかでは、「交通系電子マネー」が31.7%、「商業系電子マネー」が23.6%となっています。
「その他」：「デビットカード」など
今後、キャッシュレス決済による支払いを増やそうと思うか尋ねたところ、「増やしたい」が32.8％、「どちらかといえば、増やしたい」が35.9％で、合わせると約7割（68.7％）が「（どちらかといえば）増やしたい」と回答しており、「減らしたい」（1.7％）、「どちらかといえば減らしたい」（3.2％）は僅かとなりました。また、「特に考えていない・わからない」と回答した人も26.4％いました。
また、現在あるいは今後の決済方法と新型コロナウイルス感染予防は関係しているか尋ねたところ、「あまり関係していない」が41.1％と最も多く、「まったく関係していない」（17.6％）を合わせると約6割（58.7%）が「関係はない」としています。
〇子供を連れていると財布を出したり、小銭を出したりするのが大変なのでキャッシュレス決済は非常に助かる。（長崎市、30歳代、女性）
〇現金をたくさん持ち歩かなくていいのがよい。（長崎市、50歳代、女性）
〇ポイントが貯まる事。財布が小銭で嵩張る事がない。小銭を数えなくていい。ただ便利になりすぎると少し怖い。（長崎市、50歳代）
〇ポイントが貯まったり、ボーナスが返ってきたり、キャッシュレス決済は得することが多いので、今では現金で払うのがもったいないと感じます。（長崎市、30歳代、女性）
〇とにかく、会計がスムーズにできる。（長崎市、60歳代、男性）
〇現金をおろす時間がなくて、買い物したい時。また、高額商品を買う際はキャッシュレスが使えて良かったと思う。（大村市、30歳代、男性）
〇急な買い物で持ち合わせがなくても買い物できるところが素晴らしいと思います。（五島市、50歳代、女性）
〇請求が来て「こんなに使っていたんだ」とあせった事があります。（佐世保市、50歳代、女性）
〇まだ経験はないが、システム障害などによって、現金持ち合わせがないときにキャッシュレス決済ができなくなるのは大変困る。（佐世保市、40歳代、女性）
〇キャッシュレス決済、大賛成だが、レジ直前でスマホの不具合があり困ったことがあった。（長崎市、40歳代、女性）
〇キャッシュレスができたらいいなと思う場所は病院です。入院時や保険適用外の治療を受ける際に、クレジットカード払いなどができたらいいのにな～と思います。（佐世保市、30歳代、女性）
〇病院や公的機関、駐車場などでの利用がもっと増えればよいと思います。（長崎市、40歳代、男性
〇病院でのキャッシュレスが希望。いくらかかるかわからないから。（長崎市、50歳代、女性）
〇定期券購入や高校、中学進学時の学用品購入。金額が比較的大きいので、キャッシュレスならポイントが貯まるのにと大変悔しい思いをする。（佐世保市、40歳代、女性）
〇神社のお賽銭もキャッシュレスになればいいと思う。（長与町、30歳代、女性）
〇駐車場でキャッシュレス決済がもっと増えたら便利。（長崎市、60歳代、男性）
〇銀行での手数料とかもクレジット決済になればいいのに。（佐世保市、30歳代、女性）
〇歳をとるごとにデジタルなものが理解しにくくなり、面倒に感じてしまう。（長崎市、50歳代、女性）
〇電子化で利便性が増大したとは言えカードの紛失等によるトラブルや情報流出等の懸念もある等、未だ全面的信頼度は充分とは言えない。便利さと安全性との兼ね合いだと思う。（長崎市、70歳以上、男性）
〇キャッシュレスが増えお金の可視化が難しくなり、子供達のお金に対する認識がおかしくなっている気がする。（長与町、40歳代、女性）
〇使用することに抵抗のない若者や中年層においては便利だとは思うが、機械化に馴染めない高齢者層の一部にとってはストレスでしかないと思われ、このような一部弱者を犠牲にしたキャッシュレス化には問題もある。（長与町、60歳代、男性）
以上
（2022年4月14日、高橋純子）
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