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長崎経済研究所

地域猫活動について

 犬・猫の殺処分の数が多い長崎県ですが、猫については、命を全うするまで地域が見届けることで不幸な猫を減らそうという「地域猫活動」が進められています。

 そこで、今回はこの「地域猫活動」についてお尋ねしました。

調査方法 : 長崎県内に居住する18歳以上男女をモニターとするWEBアンケートサイト
「リサチャン」で実施。
調査期間 : 2024年7月5日(金)~11日(木)
回答者数及び属性 : 371人
【年齢層】 30歳代以下 64人  40歳代 88人  50歳代 113人 60歳代以上106人

  ※各グラフの構成比は、端数処理の関係で合計が100%にならない場合があります。

  ※クリックするとグラフはすべて拡大できます。

 ◆『地域猫活動』という言葉を知っていますか?

  ~7割近くの人が『地域猫活動』という言葉を認識~

 『地域猫活動』という言葉を知っているのか尋ねたところ、「知っている」が4割を超え(41.5%)、「聞いたことはある」(27.2%)と合わせると7割近く(68.7%)の人に認識されていました。一方、「初耳だ」は31.3%でした。

◆活動の内容を知っていますか?

 ~活動の内容を知っている人も約7割~

 「地域猫活動」について、その活動内容を知っているのかを尋ねると、「よく知っている」は18.8%にとどまりましたが、「何となく知っている」が51.0%となっており、これを合わせた活動内容について知っている人は7割近く(69.8%)に上ります。一方、「よくは知らない」との回答は29.0%、「全く知らない」は1.2%でした。

去勢・不妊手術実施済みの目印として、耳先を桜の花びらの形にカットされた猫『さくら猫』を知っていますか?

 『さくら猫』のことをよく知らない人は3割弱~

 去勢・不妊手術を行った証しとして、耳先を桜の花びらの形にカットした『さくら猫』を知っているか尋ねてみると、「知っている」が43.4%を占め、「聞いたことはある」が28.0%でした。一方、「見たことはあるが、その意味は知らなかった」が2.7%、「全く知らなかった」が25.9%となっており、『さくら猫』のことをよく知らないと回答した人が3割近くいました。

 これを年代別にみると、『60歳代以上』ではさくら猫のことを「全く知らなかった」とする回答が1/3を占めるなど、他の年代と比べて浸透度はいまひとつのようです。

◆地域猫活動の基本はTNR活動[T: TRAP(捕まえる)、N:NEUTER(不妊・去勢手術)、R:RETURN(元の場所に戻す)の略]です。主にボランティア保護団体が行っているTNR活動ですが、この活動に参加、もしくは協力したいと思いますか?

 ~6割近くの人が『TNR活動』へ参加・協力したい~

 地域猫の保護活動『TNR活動』に参加・協力の意思があるのかどうかを尋ねてみると、「参加したい」は8.9%でしたが、「協力はしていきたい」が49.6%となっており、合わせると『TNR活動』に参加・協力したいとの回答が6割近くとなりました。他方、「参加、協力したいとは思わない」との回答は41.5%でした。

◆不幸な猫が増える原因「野良猫に餌は与えるが、その他の措置(糞尿の後始末、去勢・不妊手術の実施など)を行わない人」を見かけたら、あなたはどうしますか?

 ~見かけた場合には注意するとの回答が5割近くも~

 野良猫に餌だけ与えて、他の面倒をみない人を見かけた場合にどうするのかを尋ねたところ、最も多かったのは「顔見知りの人であっても見て見ぬふりをする」の52.8%でした。もっとも、「顔見知りの人なら注意する」が31.8%、「顔見知り、顔見知りでないに関わらず注意する」が10.5%、「顔見知りでない人なら注意する」が4.9%と、見かけた場合には注意するとの回答も合わせて47.2%となっており、無責任な人を見過ごす人は少なくないようです。

 年代別では、さくら猫への関心が低かった『60歳代以上』で、「顔見知り、顔見知りでないに関わらず注意する」の割合が14.2%と、他の年代比最も高くなっています。一方、『40歳代』は「顔見知りの人であっても見て見ぬふりをする」の割合が6割を超えていました。

◆犬や猫の殺処分数をゼロにするにはどうすればよいと思いますか?【複数選択】

 ~「飼い主のモラル教育の徹底」がトップ~

 犬や猫の殺処分を失くすにはどうすればよいのかを複数回答で尋ねたところ、「飼い主のモラル教育の徹底」が8割近く(79.0%)でトップ。以下、「悪質ブリーダーの摘発」64.4%、「(ペットショップなどの)安易な生体販売ルートの撲滅」51.2%、「保護犬・猫の里親制度の充実」49.3%となりました。

 また、その他の意見には「地域猫活動の周知徹底」、「保護活動への補助金の充実」、「他の自治体に先例がある“保護動物課”のような部署の設置」などがありました。

◆犬や猫の殺処分についてひとこと

 飼い主・ブリーダーといった人間側の責任を問う声や、体に負担のかかる避妊手術への反対、犬・猫に迷惑を被っている方からの殺処分も致し方ないとの意見、ボランティア活動に依存しており、行政のさらなる関わりや法整備を求める声など、多くのコメントが寄せられました。

〇家でも保護犬を飼っているし、地域猫活動もしています。悪徳ブリーダーは許せません。早急に免許制度を導入し、誰でも販売できる制度をやめさせるべき!(五島市、50歳代、女性)

〇殺処分ゼロにしたいですが、ボランティア団体などにしわ寄せが行くだけでは本来の目的とは違う。誰かが大変になってしまわない仕組みづくりが大切だと思います。(佐世保市、40代、女性)

〇無関心な人が多いのでもっと広報して欲しい。(佐世保市、40代、女性)

〇親戚に地域猫を保護している人がいる。私は動物アレルギーなので世話はできないが、もしこんな私でもできることがあれば広報などで教えて欲しい。(佐世保市、30歳代、女性)

〇動物はおもちゃではない、と子供の頃から学校で教育する。(長崎市、60歳代、女性)

〇動物の命も人の命と同等と考えているので、極力殺処分は無い方が良いが、引き取り手がいない場合の方法を増やすべきだと思う。例:教育の場や医療・福祉の場に導入=命の授業開催、ヒーリングドッグ活動など。(長崎市、30歳代、女性)

〇目を背けたくなる現実。無責任な人間が殺処分される犬や猫を増やしていると思う。(長崎市、50歳代、女性)

〇注意くらいでは効き目はない。 法整備すれば、否が応でも守るかと。(長崎市、60歳代、女性)

避妊手術反対、猫の身体に負担がかかる。動物に強制しないで欲しい。(長崎市、30歳代、男性)

〇殺処分に限らず、すべて人間の勝手な行動だと思います 一概に不幸な犬や猫と言いますが 不妊手術受けた動物や室内飼いされている動物が幸せとは限らないと思います。(長崎市、50歳代、男性)

〇猫が庭に侵入して糞をするなど迷惑している。現状では殺処分もやむを得ないケースもあると思う。(長与町、70歳以上、男性)

〇最後まで責任持って飼えないくせに安易にペットを飼う神経が理解できない。そんな人たちがいなくなれば殺処分の必要もない。無責任な人間が手放した動物がどうなるか知るべき。言いたいことが多すぎて書ききれない。(長崎市、30歳代、女性)

〇殺処分を防ぐために積極的に活動しているのがボランティア団体など民間や個人です。働きながら活動している人たちもいます。行政は腰が重すぎます。もっと動くべきです。(諫早市、30歳代、女性)

(2024.7.19 杉本 士郎)

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