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長崎経済研究所

物流の2024年問題、宅配利用で思うことは?

ながさき暮らしのデータBOX  ~リサチャン★レポート~

 トラックドライバーの低賃金・長時間労働を是正する働き方改革がこの4月から始まりました。一方で、「物流の2024年問題」としてトラックの輸送力が不足し、配達コストの上昇や配達サービスの遅延など、生活への影響も懸念されています。その対策に物流事業者、荷主企業、政府などが取組んでいますが、消費者としても、物流の負担を軽減できるよう、意識や行動を変えることが必要になります。

 そこで、今回は、この物流の2024年問題に関連して、とくに宅配便の利用についてリサーチしました。

調査方法:長崎県内に居住する18歳以上男女をモニターとするwebアンケートサイト「リサチャン」で実施。
調査期間:2024年5月30日(木)~6月5日(水)
回答者数及び属性:333人
【年齢層】30歳代以下 51人 40歳代 80人 50歳代 108人 60歳代以上 94人
※グラフの構成比は、端数処理の関係で合計が100%にならない場合があります。
※クリックするとグラフはすべて拡大できます。

◆普段、どれくらいの頻度で宅配便を利用していますか?
~月に1回以上利用している人が7割超~

 普段、どれくらいの頻度で宅配便を利用しているのかを尋ねたところ、「月に2、3回程度」が36.3%と最も多く、「月に1回程度」が27.6%、「週に1回以上」との回答も8.4%ありました。この結果、月に1回以上利用している人が72.3%と7割を超えています。一方、「殆ど利用しない」との回答は6.0%にとどまりました。

 年代別では、30歳代以下、50歳代、40歳代では、月に1回以上利用が75%前後となっており、60歳代以上はやや低い62.8%でした。いずれにしても、年代に拘らず、広く宅配が利用されていることが分かります。

◆ドライバーの負担軽減や労働環境改善につながるような6つの意見への評価は

 宅配の利用に関し、ドライバーの負担軽減や労働環境改善につながるような6つの意見について、どう思うかを尋ねたところ、概ね同意する回答が多数を占めました。

①「ドライバーの労働環境の改善はとても重要なことである」

 「ドライバーの労働環境の改善はとても重要なことである」ということに対しては、「そう思う」が72.7%に上り、これに「ややそう思う」が21.9%で続き、殆どの人が賛同しています。

②「ドライバーの待遇改善や人材確保のための値上げ(商品や配送料)は許容できる」

 「そう思う」は30.6%にとどまりましたが、「ややそう思う」が50.5%となり、概ね賛同が8割を超えました。もっとも、「あまり思わない」(10.2%)、「そうは思わない」(3.6%)、「どちらともいえない」(5.1%)が合わせて2割ほどあり、値上げには抵抗感もあるようです。

 これを年代別でみると、「30歳代以下」では概ね賛同が6割にとどまり、40歳代以上に比べると、抵抗感が大きいことがうかがえます。

③「これまでより、全体的に配送の日数がかかるのは許容できる」

 「そう思う」が40.5%、「ややそう思う」も40.8%となっており、概ね賛同が8割を超えました。一方、「あまり思わない」(10.2%)、「そうは思わない」(5.1%)、「どちらともいえない」(3.3%)が合わせて2割となっています。

④「急ぎの荷物や日時指定などには加算料金を払ってよい」

 「そう思う」が34.5%、「ややそう思う」が39.9%、合わせて74.4%が概ね賛同となりました。一方、「あまり思わない」が14.1%、「そう思わない」が6.9%、「どちらともいえない」が4.5%となり、全体の4分の1は賛同しかねるとの回答でした。

 賛同率を年代別でみると、60歳代以上では8割、やや低い30歳代以下でも7割となっています。

⑤「物流の負担軽減のため、通販などではできるだけまとめて注文する」

 「そう思う」が47.7%と比較的高く、「ややそう思う」の33.3%を合わせると、概ね賛同が8割を超えました。一方、「あまり思わない」は10.2%、「そうは思わない」は3.0%にとどまり、「どちらともいえない」が5.7%でした。

⑥「再配達を減らせるよう、消費者もできるだけ協力する」

 「そう思う」との回答が83.5%に上り、これに「ややそう思う」も13.8%となるなど、殆どの人が賛同しており、否定的な回答はごく僅かでした。

◆6つの考え方への賛同率を比較すると、

 積極的な賛同(「そう思う」)が際立ったのは「再配達を減らせるよう、消費者も協力」(83.5%)と「ドライバーの労働環境の改善はとても重要」(72.7%)の2つで、皆さんの共通認識となっているようです。一方、他の4項目も概ね賛同(「そう思う」および「ややそう思う」)の割合が8割程度となっており、許容されています。ただ、「値上げ」や「加算料金」といった項目では「そう思う」の割合が3割台とやや低いようです。

◆再配達の削減に努力していること ~トップは「配達日時を指定」~

 再配達の削減に努力していることを複数回答で尋ねたところ、「配達日時を指定」が最も多く、67.0%でした。以下、「配達日時に必ず在宅」(50.2%)、「置き配を利用」(40.8%)、「配送状況通知アプリを利用」(39.3%)と続き、また、「宅配ボックスを利用」(20.1%)、「コンビニ受取りを利用」(14.4%)との回答も少なくありませんでした。

 「特にない」との回答は3.0%と僅かであり、皆さんが何らかの削減策に取り組んでいる姿がうかがえます。

【宅配便の利用や「物流の2024年問題」についてひとこと】

◆必死に明日到着はしなくて良い。1週間以内なら概ね許容する。(長崎市、20歳代女性)

◆コロナ禍を経て、物流業の重要さを知りました。(佐世保市、20歳代女性)

◆日中家にいないので引っ越して宅配ボックスを設置。再配達は申し訳ないなあと思っていたので、できるだけボックスを利用しています。(諫早市、30歳代女性)

◆配送料が上がるのはあまり賛成できません。 再配達を防ぐために日時指定や配達予定日には在宅することを心がけています。(長崎市、30歳代女性)

◆いろいろな職種で働き方改革が叫ばれ、2024年問題については仕方のないことだと思うので、事前に荷物が届く日時を知らせるアプリで受け渡し日時を決めてから配送するなどの流れになるとドライバー、利用者双方にとって都合がいいように思います。(時津町、30歳代男性)

◆インフラがこれだけあっても、離島が不利なのはかわらない。(五島市、30歳代男性)

◆再配達については追加料金をとっても良いと思う。そのぶん通常の料金は据え置いていただけると助かります。(長崎市、40歳代男性)

◆労働者の負担に対する対価をユーザーも正しく認識するべきだと思います。(長崎市、40歳代男性)

◆過剰サービスの部分は見直してよい。温暖化も含めて見直すきっかけになればよい。(長与町、50歳代男性)

◆宅配のありがたさを日々感じ、物流が止まったりするのはこまるので、送る側も受け取る側もいろいろと配慮して、ドライバーさん達の再配達などの負担軽減できるようにしていきたい。(南島原市、50歳代女性)

◆これからは置き配を利用したいが盗難も気にする。コンビニ受け取りが増えると良い。(長崎市、50歳代女性)

◆公共の宅配ボックスみたいなものを充実させる必要があると思う またEC業者も近隣の商品をまとめられるような新しい仕組みを考えてほしい(長崎市、50歳代男性)

◆高年齢化していく世の中、宅配は今後ますます拡大していくサービスなので、皆で知恵を絞り、デジタルやAIやロボットの力を借りながらより良い方向に進んでほしい。(長崎市、60歳代男性)

◆物流問題は今の宅配システムではますます難しくなってくる。宅配料金は無料ではなく正当な金額を支払う方式への変更が必要と思う。(佐世保市、60歳代男性)

(2024.6.14 中村 政博)

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