ながさき経済web

長崎経済研究所

若者の国際会議「ワン・ヤング・ワールド(OYW)」の分科会が長崎で開催されました

 2024年5月11・12日、若者の国際会議「ワン・ヤング・ワールド(OYW)」サミットの分科会である「ピース・プレナー・フォーラム」が長崎市の出島メッセ長崎にて初めて開催されました。

 OYWは、社会問題の解決に挑む各国の若手リーダーが集まる会議で、「若者版ダボス会議[1]」と呼ばれており、国際団体OYW(本部:ロンドン)が2010年から毎年世界各地で開催しています。


[1] ダボス会議とは、世界経済フォーラム(WEF)が開催する年次総会を指す。毎年1月に、スイス東部の保養地・ダボスで開かれることから、通称“ダボス会議”と呼ばれている。世界の政治・経済のリーダー達が一堂に会して世界的規模の課題を話し合う。

 今回の分科会は、長崎の産学官で設立したOYW長崎協議会が主催したものであり、フォーラムの名称「ピース・プレナー」は、ピース(平和)とアントレプレナー(起業家)を組み合わせた造語です。平和をテーマに、世界25カ国から次世代を担う若者約150人が参加しました。

 11日は、翌日のワークショップに向けたインスピレーションを獲得するために、国内外で活躍するゲストのプレゼンテーションやトークセッション、Q&Aが実施されました。ゲストスピーカーとして中満泉国連事務次長・軍縮担当上級代表が登壇し、「平和に向けて、持続可能かつ長期的な解決策を実行していくためには、若い人の力が必要不可欠である」と述べ、参加者を後押ししました。その後に実施されたトークセッションは、「市民のエンパワーメント」「グローバル・ウェルビーイング」「平和と紛争」の3つのテーマを柱に展開されました。

トークセッションの様子

 12日には、「平和のためのイノベーションの実現」を掲げた本フォーラムにおいて、最も重要な要素であるワークショップが実施されました。「平和」をテーマとしたものの他、全部で6種類のワークショップが企画されました。各テーマ1グループ約6名で構成されており、私はGDPとテクノロジーをテーマにしたワークショップに参加しました。

 議論は英語で行うため、私には理解が十分でない場面がありましたが、GDPに関しては、人間の豊かさを測る指標はGDPのような経済的な側面だけでなく、「持続可能性や人権を保障する環境面や幸福度の観点からの指標も重要である」という内容が議題として取り上げられました。

 またテクノロジーに関しては、人々の孤独感や障壁を取り除くために、「近年、急成長しているテクノロジーをどのように駆使したらよいのか」ということについて議論が交わされ、前日のトークセッションであった「テクノロジーの発達の過渡期の年代にいる私達若者がどのように舵を切ってテクノロジーと人間の融合を図っていけばいいのか」という観点で話を進めていきました。どちらのテーマもこれからの社会を作っていく上で、重要な議題となるために、今回議論できたことはとても有意義だと感じました。

 私と同じグループの参加者には、長崎大学や立命館アジア太平洋大学の大学院生が数名参加しており、その国籍はイランやカザフスタン、バングラデシュなどでした。この学生達に今回のフォーラムに参加した経緯と、その目的を尋ねてみると、所属する大学や知り合いの紹介により参加を決めており、行く行くは母国に帰って、母国の抱える社会問題を解決する一助となればよいと話していたことが印象的でした。

ワークショップの様子

 運営を担ったOYW長崎協議会によると、今回のフォーラムを通して生まれた新たなアイデアを具体化させるために、開催後も関係各者と連携しながら事業化や資金調達などを支援してピース・プレナーの方々を支えていくとのことです。さらに、被爆80年となる来年以降も、長崎でこのフォーラムが開催される予定となっています。

 私にとって、今回のフォーラムは「平和」や「幸福」について自分ごととして考える貴重な機会となりました。フォーラムを通して交流した人々とのつながりをこれからも大切にしていきたいと考えています。

(2024.6.13 井上 翼)

この記事は参考になりましたか?

参考になったらシェアお願いします!
メールマガジン登録・解除はこちらから
メールマガジン登録/解除
«
»
Copyright © 2021 株式会社 長崎経済研究所 All Rights Reserved.

ページトップ