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長崎経済研究所

県内企業の設備投資動向調査

2024年度期初計画(2024年5月調査) 

【調査要領】
1.調査対象:長崎県内主要企業372社
2.調査方法:WEBと郵送を併用してアンケートを実施
3.調査期間:2024年4月26日~5月31日
4.調査事項:2023年度設備投資実績、2024年度投資計画およびその内容(投資金額、前年度比増減理由、投資目的など)
5.回答企業数:製造業31社、非製造業112社、合計143社(回答率38.4%)  (有効回答企業数は製造業22社、非製造業73社、合計95社、有効回答率25.5%)

注:有効回答企業とは、2023年度実績と2024年度計画(調査時点までに実施済み分を含む)を比較することが可能で、かつ2024年度の投資方針(「実施する」もしくは「実施しない」)が確定している企業をいう。「未定」企業は対象から除外。
※クリックするとグラフはすべて拡大できます。

概 要

○有効回答95社中、投資を計画する企業は75社、78.9%。前年同時期調査を4.8ポイント上回る。回答企業143社中、24年度の投資「未定」先が48社、33.6%と前年同時期調査(29.6%)より高く、慎重な姿勢は残る。

○投資実施計画企業75社の投資総額は271億円、前年度実績比14.5%増。製造業が大幅増、非製造業は投資一巡で減少。製造業は大企業、中小企業とも大幅増、一方、非製造業は大企業、中小企業とも減少。

○前年比投資額増加企業(41社)の理由は「既存設備の老朽化」が39社と中心ながら、「競争力の維持・強化」が17社に上る。前年比投資額減少企業(22社)の理由は「投資の一巡」が中心。

○投資の目的(金額ベース)は維持・更新中心ながら、中小・製造業では増産・拡販の積極投資が目立つ。

1. 設備投資計画企業 ―計画企業割合は前年同時期調査を上回る―

有効回答先95社のうち、設備投資を計画(実施済を含む。以下同じ)する企業は75社、構成比78.9%となっており、前年同時期調査(74.1%)を4.8%ポイント上回った。このうち製造業では投資計画企業が21社、構成比95.5%(前年調査92.0%)、非製造業では投資計画企業が54社、構成比74.0%(前年69.0%)と、いずれも前年同時期調査を上回った。また、投資計画企業75社のうち、前年度も実施した先は71先となっている(図表1)。

もっとも、回答のあった企業143社のうち今年度の設備投資計画額を「未定」とする企業は48社、33.6%と前年(29.6%)を上回っており、慎重な姿勢が残っている。

2.設備投資計画額 -前年度実績を14.5%上回る -

 回答企業の投資計画額をみると、75社の投資総額は271億円となり、それら企業の前年度の投資実績総額236億円を14.5%上回っている(図表1)。

(1)製造業が大幅増加、非製造業は減少

  製造業・非製造業に分けてみると、製造業では、前年度実績(74億円)の2.4倍、176億円となっている。主な業種では、輸送機械が3.0倍増の136億円、電気機械が4.0倍増の7億円、食料品が5.9%増の19億円。

 一方、非製造業では、計画額は前年度実績(162億円)を41.4%下回る95億円となっている。主な業種では運輸が44.3%増の44億円、サービスが2.5倍増の15億円となったが、小売が85.9%減の14億円、建設が30.9%減の5億円、卸売が8.6%減の14億円となっている(図表1)。

(2)大企業、中小企業いずれも製造業が大幅増加

 企業規模別にみると、大企業では前年度実績比で86.1%の増加となっている。このうち製造業が144.2%増と伸びが目立ち、非製造業では13.9%減となっている。

 一方、中小企業では前年度実績比39.5%減となっている。とくに非製造業は49.6%減となっているが、製造業では84.8%増と伸びが目立つ (図表1)。

3. 投資額の増減理由

(1)増加理由 ―「既存設備の老朽化」中心、次いで「競争力の維持・強化」ー

 2024年度投資計画額が前年度実績に比べて増加する企業(41社)にその理由を複数回答で尋ねると、「既存設備の老朽化」が95.1%で群を抜き、これに「競争力の維持・強化」が41.5%で続いた(図表2)。

とくに製造業では、「既存設備の老朽化」(92.9%)に次いで「競争力の維持強化」が57.1%と6割近くを占めており、積極的な投資姿勢がうかがえる。

(2)減少理由 -「投資の一巡」が最多-

 一方、2024年度の投資計画額が前年度実績に比べて減少する企業(22社)にその理由を複数回答で尋ねると、「投資の一巡」が63.6%と全体の2/3を占めており、23年度の大型・大口投資実施に伴う反動減という色彩が濃い(図表3)。

4.設備投資の目的-維持・更新中心も、中小・製造では増産・拡販がトップ-

 2024年度設備投資計画の目的を金額構成比でみると、全産業では「機械設備の維持更新」が44.7%と最も多く、以下「増産・拡販」が20.7%、「省力化・合理化」が13.9%で続いている。

 このうち非製造業では、「機械設備の維持更新」が7割方を占めるが、製造業では「増産・拡販」と「省力化・合理化」がともに2割程度となっている。とくに、中小企業の製造業では、「増産・拡販」が49.9%を占め、「設備機械の維持更新」(32.3%)を大きく上回っており、積極投資ぶりが目立つ(図表4)。

(2024.6.26 中村 政博)

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