長崎の人のお金の使いみちには特徴があるのでしょうか。総務省の家計調査をもとによそのまちと比べてみました。
まず穀類は、米(4位、25,454円)は上位ですが、パン(18位、33,877円)と麺類(36位、18,953円)は中位です。麺類のうちチャンポン玉を含む中華麺(30位、4,330円)もさほど高くはありません。
鮮魚(14位、40,078円)を品目別にみると、水産業が盛んな長崎らしく、あじ(2位、2,442円)、いわし(8位、665円)、ぶり(5位、4,298円)、えび(9位、3,400円)、かに(10位、1,924円)、さしみ盛合わせ(5位、5,360円)が上位にあります。ただ、まぐろ(51位、1,268円)、かつお(43位、1,046円)、かれい(49位、442円)、さんま(47位、216円)、たこ(45位、871円)が下位のため、鮮魚全体としては中位にとどまっています。
一方、魚肉練り製品(1位、14,209円)は、揚げかまぼこ(2位、4,107円)、かまぼこ(2位、5,756円)、ちくわ(8位、2,237円)のいずれも上位にあり‘かんぼこ王国’の面目躍如です。
肉類では、生鮮肉(24位、80,182円)は、合いびき肉(2位、4,704円)を除けば中位で、加工肉(28位、17,861円、ハムやソーセージなど)はいずれの品目も中位です。
乳卵類は、牛乳(39位、13,780円)、乳製品(48位、19,088円、ヨーグルト、バター、チーズなど)、卵(11位、12,149円)などいずれも中・下位です。
野菜・海藻のなかで上位にあるのは、生鮮野菜(34位、67,325円)ではキャベツ(1位、3,441円)ともやし(9位、1,208円)、乾物・海藻(17位、9,411円)では干ししいたけ(8位、479円)、干しのり(4位、3,360円)、こんぶ(7位、1,080円)です。
生鮮果物(41位、35,341円)は、バナナ(8位、5,956円)を除けばいずれの品目も中・下位です。みかん(42位、3,728円)は数量(g)では6位であることから、安価での購入が可能なのだといえそうです。びわ単独の順位はわかりませんが、他の果物(6位、6,071円)に含まれているのかもしれません。
調味料(28位、41,069円)では、みそ(5位、2,660円)、しょう油(6位、1,982円)、砂糖(7位、1,280円)、ケチャップ(9位、720円)が上位である一方、食塩(48位、369円)、酢(44位、688円)、つゆ・たれ(44位、4,882円)は下位です。このことは料理の味付けに関係しているかもしれません。
菓子類(40位、89,643円)では、カステラ(1位、5,017円)が断トツの1位です。全国平均(851円)はもちろん、2位の津市(1,170円)をも大きく引き離しています。その他にはキャンデー(2位、2,657円)、ゼリー(6位、2,522円)が上位です。しかし、ようかん(43位、449円)、他の和生菓子(47位、8,196円)、ケーキ(50位、6,363円)、プリン(50位、1,364円)、他の洋生菓子(46位、8,153円)、せんべい(49位、4,033円)、ビスケット(45位、3,960円)、チョコレート(50位、5,689円)など下位の品目が目立ちます。
飲料では、緑茶(4位、5,040円)が上位にある他は、コーヒー(44位、6,622円)など総じて中・下位のため、飲料(43位、58,752円)全体として下位となっています。
酒類(48位、37,529円)で特徴的なことは、清酒(45位、4,024円)、ビール(43位、9,800円)、チューハイ・カクテル(50位、3,413円)など総じて下位ですが、焼酎(10位、7,211円)だけは上位にあることです。この点は、九州他県もおおむね同じような状況です。
外食(49位、112,911円)は下から4番目です。品目別にみると、日本そば・うどん(50位、3,844円)、中華そば(49位、4,658円※)、すし(50位、9,465円)、和食(49位、14,454円)、中華食(45位、2,489円)、他の麺類外食(41位、1,847円※)、洋食(50位、5,790円)、焼肉(51位、4,388円)、ハンバーガー(49位、4,222円)、喫茶代(45位、4,956円)、飲酒代(49位、6,230円)とほとんどの品目が下位です。どうやら長崎の人は家で食事することが多いようです。
※ 中華そば…ラーメン、焼きそば、皿うどん。
※ 他の麺類外食…日本そば・うどん、中華そば以外の麺類外食。スパゲッティなど。
食料以外をみると、生活インフラ関係では、上下水道料(7位、76,061円)は上位ですが、都市ガス(14位、52,260円)とプロパンガス(34位、14,599円)、電気代(49位、117,121円)は中・下位です。
交通インフラ関係では、バス代(1位、7,064円)とタクシー代(2位、7,954円)は上位ですが、ガソリン代(41位、54,726円)は中位です。ガソリン代は数量(ℓ)でも42位です。ガソリン代が高い長崎では、マイカー使用を控えバス・タクシーを使うことが多いということでしょうか。
文化面では、映画・演劇等入場料(41位、3,118円、コンサートを含む)が中位ですが、長崎スタジアムシティの登場によりこの順位が上がってくることが期待されます。
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カステラや魚介類、緑茶、上下水道料などがランキング上位に入っていることや、まぐろが下位であることなど、‘なるほど’と思われるものがあります。
一方で意外なものもあります。たとえば、チャンポン(単独の品目設定なし)についてみると、外食(他の麺類外食、中華食)は中・下位ですし、内食にしても代表的具材のキャベツこそ1位ですが、中華麺は中位(支出額は30位、消費量は33位)にとどまっています。
それから、長崎には歴史的背景から甘口の食文化があり、本調査でも砂糖が上位にありますが、菓子類はほとんどが中・下位です。
これらのことについては、機会があれば違う角度から考察してみたいものです。
(2024.9.13 宮崎 繁樹)