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長崎経済研究所

景況感、緩やかな回復基調も先行きは弱含み

~第138回 県内企業景況調査~

 当研究所では、県内の景気動向を探るため四半期毎に県内企業景況調査を行っています。このほど、2024 年11 月に実施した調査結果を以下のとおりまとめました。
 ご多用のなかご回答頂きました皆様に厚くお礼申し上げます。

              【調査要領】

1.調査目的:県内企業の業況と経営動向の把握および県内景況判断資料の作成
2.調査対象:県内主要企業370社(回答企業数224社、回答率60.4%)
3.調査方法:WEB と郵送を併用
4.調査期間:2024年10月29日~11月30日
5.調査対象期間:2024 年7~9月期 実   績(前年同期比)
         2024 年10~12月期 実績見込み(前年同期比)
         2025 年1~3月期 見 通 し(前年同期比)
6.調査事項
 (1)業況判断     (2)売上高   (3)受注残高    (4)在庫水準
 (5)操業度・稼働率  (6)雇用人員  (7)販売価格    (8)仕入価格
 (9)採算(経常利益) (10)資金繰り  (11)経営上の問題点
7.回答企業属性

概況

〇全産業の業況判断BSIをみると、長崎スタジアムシティ開業効果等への期待から、2024年7~9月期実績の△3から足もと10~12月期(実績見込み)はプラス3となった。もっとも先行き2025年1~3月期は、円安の進行による物価の上昇や、人材確保のための人件費上昇などへの懸念から、BSIは△4と悪化する見通し。県内企業の景況感は、回復基調ながら不変が約7割と足踏みが続く。

経営上の問題点(3つ以内の複数回答、全産業計)は、「仕入商品又は原材料価格の値上がり」が57.3%でトップ。これに「人材不足」(49.1%)と「賃金の上昇」(37.3%)が続く。

1.業況判断

 全産業の業況判断BSIをみると、長崎スタジアムシティ開業効果等への期待から、2024年7~9月期実績の△3から足もと10~12月期(実績見込み)はプラス3となった。もっとも先行き2025年1~3月期は、円安の進行による物価の上昇や、人材確保のための人件費上昇などへの懸念から、BSIは△4と悪化する見通し。県内企業の景況感は、回復基調ながら不変が約7割と足踏みが続く。

1)製造業

 製造業の業況判断BSIは、24年7~9月期の△4から、受注環境の好転などもあり足もと10~12月期はプラス17と大幅に上昇した。もっとも25年1~3月期は、物価高への懸念などからプラス7と低下する見通し。

 このうち食料品は、原材料やエネルギー価格の上昇分を販売価格に転嫁する動きが進むなか、インバウンド需要の回復などもあり、24年7~9期の0から足もと10~12月期はプラス29と大幅に上昇した。しかしながら25年1~3月期は更なる円安への懸念などから、プラス8とプラス圏ながら低下する見通し。電気機械は、好調な受注環境から24年7~9期のプラス33から足もと10~12月期はプラス50となり、先行き25年1~3月期もプラス50と景況感は堅調に推移する見通し。

2)非製造業

非製造業の業況判断BSIは、24年7~9月期実績3が、足もと10~12月期は △1と若干持ち直す見込みも、先行き25年1~3月期では△7と再び悪化する見通し。

このうち運輸業は、24年7~9月期実績プラス7から足もと10~12月期プラス10と上昇するも、先行き25年1~3月期は人件費、燃料費等諸経費の増大懸念によりプラス3と低下する見通し。サービス業も、24年7~9月期実績はプラス4から足もと10~12月期はプラス7と上昇する見込みも、人材不足や最低賃金の上昇などにより、先行き25年1~3月期は0となる見通し。

2.雇用人員、仕入・販売価格、採算

全産業の雇用人員のBSIをみると、足もと24年10~12月期の見込みが△48、先行き25年1~3月期の見通しも△45と、大幅マイナス(人員不足)が続く。

 全産業の仕入価格のBSIは、資材・原材料費の高騰から、24年7~9月期実績60、足もと10~12月期57、先行き25年1~13月期53と、高止まりの状況ながらも低下傾向。また、全産業の販売価格のBSIも、24年7~9月期実績と足もと10~12月期のプラス30から、先行き25年1~3月期はプラス26と低下する見通し。全産業の採算BSIは、24年7~9月期実績△17から足もと10~12月期は△13と持ち直す見込みも、先行き25年1~3月期は△14と、厳しい収益環境が続く。同じように製造業の採算BSIも、受注環境の好転などから24年7~9月期の実績△11、足もと10~12月期プラス10と大きく持ち直す見込みも、先行き25年1~3月期は0と再び悪化する見通し。

3.経営上の問題点

 経営上の問題点(3つ以内の複数回答、全産業計)は、「仕入商品又は原材料価格の値上がり」が57.3%でトップ。以下、「人材不足」(49.1%)と「賃金の上昇」(37.3%)。うち、「賃金の上昇」は前回調査比2.3ポイント増加している。

回答企業からは、「材料費や諸経費は高止まりで推移している。電力料金の割引廃止により実質的な大幅値上げが、大きな影響となっている。」(電気機械)、「継続的な物価高騰が徐々に経営を圧迫してきている。人材確保の為には昇給を行わざるを得ない状況で人件費の増加も懸念される」(運輸業)、「原材料の値上がりは想定を超えるものである。人件費についても最低時給が上がるなど人材不足も含めて課題」(サービス業)などのコメントが寄せられた。

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