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長崎経済研究所

第134 回 県内企業景況調査(速報)

【調査要領】


1.調査目的:県内企業の業況と経営動向の把握および県内景況判断資料の作成
2.調査対象:県内主要企業372 社(回答企業数230 社、回答率61.8%)
3.調査方法:WEB と郵送を併用しアンケートを実施
4.調査期間:2023 年10 月31 日~ 11 月30 日
5.調査対象期間:2023 年 7 ~ 9 月期 実   績(前年同期比)
         2023 年10 ~ 12 月期 実績見込み(前年同期比)
         2024 年 1 ~ 3 月期 見 通 し(前年同期比)
6.調査事項
 (1)業況判断 (2)売上高 (3)受注残高 (4)在庫水準(5)操業度・稼働率 (6)雇用人員

 (7)販売価格 (8)仕入価格(9)採算(経常利益) (10)資金繰り (11)経営上の問題点

7.回答企業属性

BSI について
 BSI はビジネス・サーベイ・インデックス(BusinessSurveyIndex)の略で、回答企業の「好転・増加・上昇」とする企業割合から「悪化・減少・下落」とする企業割合を差し引いた指標のことである。例えば回答企業のうち30%で業況が好転し、10%の企業が悪化した場合、BSI の値は30 − 10 = 20となる。BSI のプラスは好転、マイナスは悪化とみることができる。

概況

〇 全産業の業況判断BSI をみると、コロナ禍収束で経済活動の正常化が進む一方、人手不足が続くなか、エネルギー・原材料価格上昇が企業収益を圧迫し、2023 年7 ~ 9 月期実績のプラス11 から足もと10 ~ 12 月期(実績見込み)はプラス4、先行き2024 年1 ~ 3 月期は1 に低下。県内企業の景況感は、不変は6 割超に上り、緩やかな回復基調ながら、先行きは弱含む見通し。
〇 経営上の問題点(3 つ以内の複数回答、全産業計)は、トップは「仕入商品又は原材料価格の値上がり」(60.7%)、第2 位は「人材不足」(52.0%)となっている。3 位は「売上げ・受注の不振」(31.4%)となり、前回調査「設備の老朽化」と順位が入れ替わった。


1.業況判断

 全産業の業況判断BSI をみると、コロナ禍収束で経済活動が回復する一方、人手不足が続くなか、エネルギー・原材料価格上昇が企業収益を圧迫し、2023 年7 ~ 9 月期実績のプラス11 から足もと10~ 12 月期(実績見込み)はプラス4、2024 年1 ~ 3 月期はプラス1 と低下。県内企業の景況感は、不変は6 割超に上り、緩やかな回復基調ながら、先行きは弱含む見通し。

(1)製造業

 製造業の業況判断BSI は、23 年7 ~ 9 月期実績が前期(0)から3 に回復し、10 ~ 12 月期も3 となったが、物価高の影響を受け、24 年1 ~ 3 月期は△ 2 と悪化する見通し。
 このうち一般機械は、短納期の案件が増加し対応が難しくなっていることや、仕入価格上昇が利益を圧迫していることから、BSI は23 年7 ~ 9 月期、10 ~ 12 月期とも△ 27 となったものの、受注工事への期待などから24 年1 ~ 3 月期は△ 18 と幾分持ち直す見通し。食料品は、お土産品などの需要が回復したことにより、売上が安定した一方、相次ぐ大型店の開業などによる人材不足への懸念もあり、BSI は23 年7 ~ 9 月期40、10 ~ 12 月期34、1 ~ 3 月期は27 とプラス圏ながら低下傾向。

(2)非製造業

 非製造業の業況判断BSI は、23 年7 ~ 9 月期実績が12、10 ~ 12 月期実績見込みは3、先行き24 年1 ~ 3 月期は1 と低下する見通し。
 このうち小売業では、仕入価格の増加などコスト増の傾向が続くものとみられることから、23 年7~ 9 月期19 から足もと10 ~ 12 月期は△ 4、先行き1 ~ 3 月期は△ 11 と悪化する見通し。サービス業は、仕入原価上昇による収益確保難のなか、23 年10 ~ 12 月期△ 4 と悪化するも、観光客の回復が見込まれている24 年1 ~ 3 月期は7 と回復する見通し。

2.雇用人員、仕入・販売価格、採算

 全産業の雇用人員のBSI をみると、足もと23 年10 ~ 12 月期△ 48、先行きも1 ~ 3 月期△ 46 と、大幅マイナス(人員不足)が続く見通し。
 全産業の仕入価格のBSI は、燃油費や資材・原材料費が幾分低下するものの、23 年10 ~ 12 月期57、先行き24 年1 ~ 3 月期52 と大幅なプラス(上昇> 低下)が続く。
 一方、全産業の販売価格のBSI は、足もと36、先行き31 とBSI はプラスではあるが、仕入価格の高騰が続くなか、その上昇分を販売価格に十分転嫁できないことから、採算BSI は23 年10 ~ 12 月期△ 5、24 年1 ~ 3 月期△ 12 とマイナス幅が拡大し、収益環境は悪化する見通し。

3.経営上の問題点

 経営上の問題点(3 つ以内の複数回答、全産業計)は前回に続き、トップは「仕入商品又は原材料価格の値上がり」(60.7%)、第2 位は「人材不足」(52.0%)となっている。3 位は前回調査の「設備の老朽化」(今回は27.9%の4 位)に替わって「売上げ・受注の不振」(31.4%)となった。
 回答企業からは、「世界的なインフレは継続、資機材アップは引続き懸念」(輸送機械)、「コロナの影響が収まり売上は改善傾向も、アミュプラザやスタジアムシティなどの開業により、人手不足がさらに深刻化すると予想される」(食料品製造業)、「燃料代の高騰により採算が悪化することや、2024 年問題における労働時間の短縮による人材不足や人件費の増加を懸念」(運輸業)などのコメントが寄せられた。

■経営上の問題点 (3つ以内 複数回答)

(2023.12.26 泉 猛)

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