ながさき経済web

長崎経済研究所

県内企業の設備投資動向調査

‒2023 年度の実績と計画(2023 年11 月調査)‒

【調査要領】
1.調査対象:長崎県内主要企業372 社
2.調査方法:WEB と郵送を併用してアンケートを実施
3.調査期間:2023 年10 月31 日~ 11 月30 日
4.調査事項: 2022 年度設備投資実績、2023 年度の投資実績と計画およびその内容(投資金額、前年度比増減理由、投資目的など)
5.回答企業数:製造業43 社、非製造業139 社、合計182 社(回答率48.9%)
       (有効回答企業数は製造業33 社、非製造業112 社、合計145 社、有効回答率39.0%)
注: 有効回答企業とは、2022 年度実績と2023 年度計画(調査時点までに実施済み分を含む)を比較することが可能で、かつ2023 年度の投資方針(「実施する」もしくは「実施しない」)が確定している企業をいう。「未定」企業は対象から除外。
概要
○回答企業182 社中、2023 年度の投資「未定」先が20.3%。コロナ前より高く、未だ回復途上。
○有効回答145 社中、投資を計画する企業は64.1%。製造業・非製造業ともに前年比上昇。
○ 93 社の投資総額は235 億円、前年度実績比45.7% 増。製造業・非製造業ともに前年比増加。
○大企業・中小企業とも投資額増加。製造業・非製造業についても投資額増加。
○ 前年比投資額増加企業(56 社)の理由は「既存設備の老朽化」が中心、次いで「競争力の維持・強化」。前年比投資額減少企業(32 社)の理由は「投資の一巡」が中心。
○ 投資の目的(金額ベース)は「機械設備の維持・更新」が中心であるが、「増産・拡販」投資も増加し、攻めの投資も上向き。

1.設備投資計画社数 ―計画企業割合は伸び悩み―

 回答企業182 社のうち、2023 年度の投資計画が「未定」の先は20.3% と前年(26%)を下回った。もっとも、コロナ前(19 年、9.8%)を上回る水準が続いている。
 有効回答先145 社のうち、設備投資を計画(実施済を含む。以下同じ)する企業は93 社、構成比は64.1% であり、前年同時期調査の割合(76.9%)を12.8 ポイント下回っている。これを製造・非製造業別にみると、製造業では投資計画企業が24 社、構成比72.7%(前年96.7%)、非製造業では投資計画企業が69 社、構成比61.6%(前年69.2%)と、いずれも前年調査時における割合を下回っている。また、投資計画企業93 社のうち、前年度も実施した先は86 先と概ね前年並みとなっている(図表1)。

2.設備投資計画額 ―前年度実績比45.7%増―

 回答企業の投資計画額をみると、93 社の投資総額は235 億円となり、それら企業の前年度の投資実績総額161 億円を45.7% 上回っている(図表1)。

(1)製造業、非製造業いずれも大幅増加

 製造業・非製造業に分けてみると、製造業では114 億円となり、前年度実績72 億円を58.1% 上回る。主な業種では、輸送機械が73 億円、47.5%増、食料品が14 億円、33.5%増など伸びが目立つ。
 また、非製造業では、計画額121 億円、前年度実績89 億円を35.8%上回っている。主な業種では、卸売が28 億円、55.5%増、小売が24 億円、78.0%増、建設が15 億円、5 倍増など大幅に伸びた一方、運輸は28 億円、14.1% 減、サービスは8 億円、19.2% 減であった(図表1)。

(2)大企業、中小企業いずれも大幅増加

 企業規模別にみると、大企業では前年度実績比で41.5%の増加となっており、うち製造業では44.2%増加、非製造業では36.0% といずれも増加する計画となっている。
 また、中小企業でも前年度実績比で50.8% の増加となっており、うち製造業では125.2% 増、非製造業でも35.7% 増といずれも大幅増の計画となっている(図表1)。

3.投資額の増減理由<複数回答>

(1)増加理由 ―「既存設備の老朽化」中心、次いで「競争力の維持・強化」―

 2023 年度投資計画額が前年度実績に比べ増加する企業(56 社)にその理由(複数回答)を尋ねると、「既存設備の老朽化」が76.8% で群を抜き、これに「競争力の維持・強化」が33.9%で続く。そのほかでは、「新分野への進出」が10.7%となっている(図表2)。

(2)減少理由 ―「投資の一巡」が最多―

 一方、2023 年度の投資計画額が前年度実績に比べ減少する企業(32 社)にその理由(複数回答)を尋ねると、「投資の一巡」が40.6%と最も多く、次いで「需要の低迷又は悪化」が6.3%となっている(図表3)。

4.設備投資の目的 ―非製造業では維持更新、製造業では維持更新と増産・拡販―

 2023 年度設備投資計画の目的を金額ベースの構成比でみると、全産業では「機械設備の維持更新」が49.4% と最も多く、これに「増産・拡販」が19.0%、「省力化・合理化」が11.0%で続いている。
 このうち非製造業では「機械設備の維持更新」が大企業で50.4%、中小企業で74.9%を占めるの対し、製造業では「増産・拡販」が大企業で28.3% と最も多く、中小企業製造業でも26.8%となっており、積極的な投資として注目される(図表4)

 このように、設備投資の意欲面ではコロナ収束のなか大型の投資がみられ、増産・拡販についても製造業で目立つなど積極姿勢もうかがえる。

(2023.12.26 堀 博史)

この記事は参考になりましたか?

参考になったらシェアお願いします!
メールマガジン登録・解除はこちらから
メールマガジン登録/解除
«
»
Copyright © 2021 株式会社 長崎経済研究所 All Rights Reserved.

ページトップ