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長崎経済研究所

景況感、回復基調も先行きは弱含み

~第139回 県内企業景況調査~

 当研究所では、県内の景気動向を探るため四半期毎に県内企業景況調査を行っています。このほど、2025 年2 月に実施した調査結果を以下のとおりまとめました。
 ご多用のなかご回答頂きました皆様に厚くお礼申し上げます。

【調査要領】

1.調査目的:県内企業の業況と経営動向の把握および県内景況判断資料の作成
2.調査対象:県内主要企業369社(回答企業数223社、回答率60.4%)
3.調査方法:WEB と郵送を併用
4.調査期間:2025年1月27日~2月28日
5.調査対象期間:2024 年10~12月期 実   績(前年同期比)
         2025 年1~3月期 実績見込み(前年同期比)
         2025 年4~6月期 見 通 し(前年同期比)
6.調査事項
 (1)業況判断     (2)売上高   (3)受注残高    (4)在庫水準
 (5)操業度・稼働率  (6)雇用人員  (7)販売価格    (8)仕入価格
 (9)採算(経常利益) (10)資金繰り  (11)経営上の問題点
7.回答企業属性

概況

〇全産業の業況判断BSIをみると、円安による原材料の値上がりや人手不足および、長崎スタジアムシティ開業効果等の一服感から、2024年10~12月期実績のプラス3から足もと2025年1~3月期(実績見込み)は△9となった。また、先行き2025年4~6月期は、借入金利上昇などへの懸念から、BSIは△11とさらに悪化する見通し。県内企業の景況感は、不変が7割超と足踏みが続く見通し。

〇経営上の問題点(3つ以内の複数回答、全産業計)は、「仕入商品又は原材料価格の値上がり」が59.5%でトップ。これに「人材不足」52.7%)と「賃金の上昇」(34.1%)が続く。

1.業況判断

 全産業の業況判断BSIをみると、円安による原材料の値上がりや人手不足および、長崎スタジアムシティ開業効果等の一服感から、2024年10~12月期実績のプラス3から足もと2025年1~3月期(実績見込み)は△9となった。また、先行き2025年4~6月期は、借入金利上昇などへの懸念から、BSIは△11とさらに悪化する見通し。県内企業の景況感は、不変が7割超と足踏みが続く見通し。

(1)製造業

 製造業の業況判断BSIは、24年10~12月期のプラス12から、原材料、資材、エネルギー価格の上昇などから、足もと25年1~3月期は△1と大幅に低下する見込み。また、4~6月期も△9と、原材料やエネルギー価格の上昇分を十分に価格転嫁できないことから厳しい収益環境が続く見通し。

 このうち一般機械は、24年10~12期のプラス0から、堅調な受注環境を受け、足もと25年1~3月期はプラス18と大幅に上昇した。もっとも、原材料や資材価格の上昇懸念に加え、深刻な人材不足から先行き4~6月期は△27と低下する見通し。食料品は、24年10~12期のプラス31から、原材料やエネルギー価格の上昇などから、足もと25年1~3月期は△12と大幅に低下する見込み。しかしながらインバウンド需要の回復などから4~6月期は、プラス13と上昇する見通し。

(2)非製造業

 非製造業の業況判断BSIは、24年10~12月期実績0から足もと25年1~3月期は △11と大幅に低下する見込みとなり、先行き4~6月期も△12と厳しい収益環境が続く見通し。

 このうち運輸業は、24年10~12月期実績プラス16から足もと25年1~3月期△3、先行き4~6月期△10と人件費、燃料費等諸経費の増大懸念により低下する見通し。サービス業も、24年10~12月期実績はプラス14から足もと25年1~3月期は△11、先行き1~3月期は△10と人材不足や最低賃金の上昇などにより低下する見通し。

2.雇用人員、仕入・販売価格、採算

 全産業の雇用人員のBSIをみると、足もと25年1~3月期の見込みが△48、先行き4~6月期の見通しも△45と、大幅マイナス(人員不足)が続く。

 全産業の仕入価格のBSIは、資材・原材料費の高騰から、24年10~12月期実績60、足もと25年1~3月期63、先行き4~6月期58と、高止まりが続く。一方、全産業の販売価格のBSIは、上昇が続く仕入価格の販売価格への転嫁する動きの遅れから、足もと25年1~3月期プラス32の見込みから、先行き1~3月期はプラス30となる見通し。全産業の採算BSIは、足もと25年1~3月期△19、先行き4~6月期は△22と、依然厳しい収益環境が続く見通し。業種別に見ても、製造業の採算BSI(足もと△18、先行き△24)、非製造業の採算BSI(足もと△19、先行き△21)と業種に限らず厳しい収益環境が続く。

3.経営上の問題点

 経営上の問題点(3つ以内の複数回答、全産業計)は、「仕入商品又は原材料価格の値上がり」が59.5%でトップ。以下、「人材不足」(52.7%)と「賃金の上昇」(34.1%)。うち、「仕入商品又は原材料価格の値上がり」は前回調査比2.2ポイント、「人材不足」は前3.6ポイント増加している。

 回答企業からは、「原材料、エネルギー価格の上昇に加え、最低賃金の上昇により人件費も大幅に増えており収益の低下要因となっている」(食料品)、「人材不足のため各担当者が抱える工事件数が多くなり、それぞれの負担が大きくなっている。」(建設業)、「乗務員の高齢化により勤務数が減り稼働率が低下し売上が減少している。乗務員の募集をしているが集まらず難しい状況。」(運輸業)などのコメントが寄せられた。

(永山 真)

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