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長崎経済研究所

県内企業の設備投資動向調査
― 2022年度期初計画(本年5月調査)―

■ 調査対象 :県内主要企業375社

■ 調査方法 :WEBと郵送を併用しアンケートを実施

■ 調査期間 :2022年4月21日~5月31日

■ 調査事項 :2021年度設備投資実績、2022年度の投資実績と計画およびその内容

       (投資金額、前年度比増減理由、投資目的など)

■ 回答企業数:製造業42社、非製造業128社、合計170社(回答率45.3%)

       (有効回答企業数は製造業31社、非製造業80社、合計111社、有効回答率29.6%)

注:有効回答企業とは、2021年度実績と2022年度計画(調査時点までに実施済み分を含む)を比較することが可能で、かつ2022年度の投資方針(「実施する」もしくは「実施しない」)が確定している企業をいう。「未定」企業は対象から除外。

1.設備投資計画社数

―計画企業割合は前年同時期調査を下回る―

 有効回答先111社のうち、2022年度に設備投資を計画(実施済を含む。以下同じ)する企業は79社、計画企業割合は71.2%となり、前年同時期調査の同割合79.0%を7.8ポイント下回った。

 製造・非製造業別にみても、製造業では投資計画企業が26社、計画企業割合は83.9%、非製造業では53社、66.3%と、いずれも前年調査時における割合(それぞれ87.5%、75.5%)を下回る結果となった。

2.設備投資計画額

-前年度実績比4.5%減少-

 22年度に設備投資を計画する企業79社の投資計画額は総額166億円で、これら企業における前年度の投資実績(174億円)に対して4.5%減となった(図表2)。

(1)製造・非製造業別 

-製造業で前年度実績比増加、非製造業では減少-

 製造業の22年度投資計画額は84億円で、前年度実施額(74億円)を13.8%上回る。主な業種毎にみると、輸送機械(前年度実績54億円→今年度計画53億円、1.9%減 以下同じ)が若干前年度を下回った他は食料品(10億円→17億円、77.5%増)、一般機械(3億円→6億円、72.5%増)、電気機械(4億円→5億円、36.2%増)など軒並み大幅増加となる計画。

 次に非製造業をみると、全体の計画額は82億円で前年度実績(100億円)比18.0%減と製造業とは対照的に前年度実績比減少となっている。主な業種では、前年度に大型投資のあったサービスが反動で大幅減(56億円→13億円、76.6%減)となったほか、運輸が小幅減(30億円→29億円、3.0%減)。一方卸売(2億円→14億円、6.8倍増)、小売(5億円→9億円、73.7%増)、建設(3億円→4億円、60.7%増)などでは増加の計画となっている(図表2)。

(2)企業規模別

-大企業では製造業が増加・非製造業が減少、中小企業ではいずれも増加-

 企業規模別にみると、大企業では前年度実績比17.9%の減少、うち製造業では5.3%増加、非製造業では41.6%減少の計画。また中小企業では同31.7%増、このうち製造業では69.8%の大幅増、非製造業でも21.7%の増加。 大企業では製造業で増加・非製造業では減少、中小企業においては製造・非製造いずれもで増加の計画となっている(図表2)。

3.投資額の増減理由<複数回答>

(1)増加理由

-「既存設備の老朽化」が引き続き最多

 22年度投資計画額が前年度実績に比べ増加する企業(51社)にその理由(複数回答)を尋ねたところ、「既存設備の老朽化」が80.4%で最も多く、次いで「競争力の維持・強化」が52.9%、以下「新分野への進出」(11.8%)、「環境問題への対応」(7.8%)、「時短への対応」(7.8%)の順(図表3)。

(2)減少理由

-「投資の一巡」が最多-

 一方、22年度の投資計画額が前年度実績に比べ減少する企業(30社)にその理由(複数回答)を尋ねると、「投資の一巡」が43.3%と最も多く、以下「需要の低迷又は悪化」(26.7%)、「資金調達環境の悪化」(10.0%)などの順(図表4)。

4.設備投資の目的

-製造業、非製造業ともに「機械設備の維持更新」が主-

 22年度設備投資の目的を金額ベースの構成比でみると、全産業では「機械設備の維持更新」が52.7%で最も多く、以下「省力化・合理化」(16.5%)、「増産・拡販」(8.1%)、「新規事業・新製品開発」(5.0%)と続く。 企業規模別では大企業・中小企業ともに「機械設備の維持更新」が最も多い。ただし大企業においては「増産・拡販」、「新規事業・新製品開発」の割合が1桁台と低めになっているが、中小企業では対照的に「増産・拡販」と「新規事業・新製品開発」が2桁台で「機械設備の維持更新」に次いで多い(図表5)。

(2022年6月16日 野邉 幸昌)

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