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長崎経済研究所

長崎県内企業の設備投資動向調査 ~ 2021年度の実績と計画(2021年11月調査)~

【調査要領】

1.調査対象:長崎県内主要企業380社  
2.調査方法:WEBと郵送を併用してアンケートを実施  
3.調査期間:2021年10月28日~11月30日
4.調査事項:2020年度設備投資実績、2021年度の投資実績と計画およびその内容(投資金額、前年度比増減理由、投資目的など)  
5.回答企業数:製造業48社、非製造業142社、合計190社(回答率50.0%)
 (有効回答企業数は製造業40社、非製造業109社、合計149社、有効回答率39.2%)

注:有効回答企業とは、2020年度実績と2021年度計画(調査時点までに実施済み分を含む)を比較することが可能で、かつ2021年度の投資方針(「実施する」もしくは「実施しない」)が確定している企業をいう。「未定」企業は対象から除外。

概要

○2021年度の投資計画企業は120社。前年も投資実施企業は108社であり、12社増加。

 もっとも、回答企業190社中、未定企業が41社、21.6%とコロナ前より高く、未だ回復途上。

○120社の投資総額は292億円、前年度実績比35.8%増。製造業・非製造業とも増加。

○大企業・中小企業とも投資額増加。中小企業では非製造業が増加目立つ。

○投資額を前年比増やす企業(71社)の理由は、「設備老朽化」に次いで「競争力維持・強化」。

○投資の目的(金額ベース)は維持・更新中心も、増産・拡販投資も増加し、攻めの投資も上向き。


1.設備投資計画社数 -計画企業、増加傾向

 有効回答先149社のうち、2021年度に設備投資を計画(実施済を含む。以下同じ)する企業は120社、その構成比は80.5%となり、前年同時期調査の割合(75.6%)を4.9ポイント上回っている。このうち、製造業では投資計画企業が34社、構成比85.0%、非製造業では86社、同78.9%となっており、いずれも前年同時期調査の割合(それぞれ80.9%、73.5%)を上回っている。また、投資計画企業120社のうち、前年度も実施した先は108社となっており、21年度は中小企業の非製造業を中心に12先の増加である。(図表1)

 もっとも、回答企業(190社)のうち、投資計画を「未定」としている企業は41社、21.6%と前年同時期調査(18.4%)をやや上回り、コロナ前(19年度、9.8%)より高い水準にある。

 全般的にみると、設備投資意欲は回復傾向がうかがえるが、未だ回復途上とみられる。


2.設備投資計画額 -投資計画額は増加

 回答企業の投資計画額をみると、120社の投資総額は292億円となり、それら企業の前年度の投資実績総額215億円を35.8%上回っている(図表1)。

 製造業・非製造業に分けてみると、製造業では102億円、前年度実施額(82億円)比24.7%増。主な業種では、輸送機械が75億円、46.0%増、一般機械が5億円、35.2%増となった一方、食料品は14億円、9.7%減であった。

 また、非製造業では、計画額190億円、前年度実施額(133億円)比42.8%増となっている。主な業種ではサービス80億円、24.9%増、卸売44億円、3.1倍増、運輸30億円、20.9%増、小売業21億円、3.1倍増に対し、建設は10億円、23.0%減(図表1)。

 企業規模別にみると、大企業では前年度実績比43.3%増、うち製造業では34.4%増、非製造業も52.5%増の計画となっている。一方、中小企業でも、前年度実績比24.1%増、このうち製造業は17.0%減となっているが、非製造業は33.5%増の計画(図表1)。


3.投資額の増減理由<複数回答>

 (1)増加理由  「既存設備の老朽化」に「競争力の維持・強化」が続く

 2021年度投資計画額が前年度実績に比べ増加する企業(71社)にその理由(複数回答)を尋ねると、「既存設備の老朽化」が80.3%で群を抜き、これに「競争力の維持・強化」が46.5%で続く。そのほかでは、「環境問題への対応」が12.7%、「新分野への進出」が11.3%。

(2)減少理由 -「投資の一巡」が最多

 一方、20年度の投資計画額が前年度実績に比べ減少する企業(45社)にその理由(複数回答)を尋ねると、「投資の一巡」が48.9%と最も多く、次いで「需要の低迷又は悪化」が20.0%となっている(図表3)。



4.設備投資の目的 

 -維持・更新中心も、増産・拡販投資も増加

 21年度設備投資計画の目的を金額ベースの構成比でみると、全産業では「機械設備の維持更新」が43.3%で最も多く、これに「増産・拡販」が24.2%で続いている。そのほかでは、「省力化・合理化」が10.1%と比較的多い。


 このうち大企業の製造業では、「機械設備の維持更新」37.5%に対し、「増産・拡販」も34.2%と高い比率となっている。一方、中小企業では「機械設備の維持更新」(54.9%)に集中しているが、製造業では「省力化・合理化」が、非製造業では「増産・拡販」が2割ほどで2番手に上がっている。(図表4)。

 全般的には引き続き「維持・更新」投資が中心ではあるが、「増産・拡販」投資が21年5月調査の16.0%から今回は24.2%に拡大するなど、事業拡大に向けた攻めの投資も上向いており、明るい動きとして注目される。

          2021.12.10 中村政博

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