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商店街の活性化に向けて ~沼垂テラス商店街を事例に~ 【前編】

はじめに

 買い物をするだけの場所ではなく、地域の魅力発信拠点ともいえる場所、商店街。かつては地域の暮らしの中心となっていたが、人口の減少に加え、車社会の到来に伴う郊外型大型商業施設の開業やディスカウントストアの出店、後継者不足、ECサイト利用者の増加など、複合的要因から訪れる人が減少し、昔ながらの活気が無くなりシャッター通りと化してしまうなど、その取り巻く環境は厳しいものがある。その一方で、空き店舗の再利用やイベントなどに取り組むことで客離れを食い止め、集客に成功した商店街も現れてきた。

 本稿では、活気を失った市場(いちば)の長屋をリノベーションして、個性豊かな店舗が並ぶ地域密着かつ観光型商店街に再生した新潟市の『沼垂(ぬったり)テラス商店街』を事例に、商店街の活性化について考察する。

Ⅰ.商店街の現況

 わが国の商店街の現況を調査したものに、全国商店街振興組合連合会が行っている商店街実態調査がある。2024(令和6)年10月に調査が行われ、昨年の2025(令和7)年6月に公表された「商店街実態調査報告書」から、全国の商店街の現状を見ることができる。

1. 商店街の景況

 同調査の商店街の景況についてみると、「繁栄している」と「繁栄の兆しがある」、「まあまあである(横ばいである)」が、前回調査(令和3年)比それぞれ1.4ポイント 、1.7ポイント 、4.8 ポイント増加している。一方、「衰退している」と「衰退の恐れがある」は 、3.3 ポイント、2.4 ポイント減少しており、各地の商店街がその存続に奮闘していることがうかがえる。

出所:「令和7年6月 商店街実態調査報告書」(図表はクリックすると拡大)

2. 商店街への新規出店数

 商店街全体(非会員含む)における直近1年間の新規出店数は、「0店」が41.0%と最も多く、次点は「1~4店」の35.2%と、新たな店舗が続々と出店している状況ではないようだ。

出所:「令和7年6月 商店街実態調査報告書」

3. 商店街の役割 【複数回答】

 商店街の役割で“期待されていると思うもの”は、「地域住民への身近な購買機会の提供」が57.0%でトップ。以下「地域の賑わいの創出」(56.9%)、「治安や防犯への寄与」(49.0%)の順。

 他方、“期待に応えられていると思うもの”については、「治安や防犯への寄与」が56.0%と最も多く、以下「地域住民への身近な購買機会の提供」(43.4%)、「地域の賑わいの創出」(40.7%)となっている。 商店街が地域との関わりを大切にしていることがわかる。

出所:「令和7年6月 商店街実態調査報告書」(図表はクリックすると拡大)

4.商店街の空き店舗からの退店(廃業)理由 【複数回答:2項目選択】

 商店街における空き店舗のうち、直近1年間に退店(廃業)した理由をみると、「商店主の高齢化・後継者の不在」が7割近く(67.5%)と、次点の「他の地域への移転」(20.6%)を大きく引き離してトップ。以下「商店街に活気がない」(10.9%)、「同業種との競合」(9.4%)となっており、一般企業と同様、商店街の店主も高齢化に伴う後継者問題に悩まされているのが見て取れる。

出所:「令和7年6月 商店街実態調査報告書」

5.商店街の問題点 【複数回答:3項目選択】

 商店街の問題については、「経営者の高齢化による後継者問題」が64.9%で最多と、これも次点の「店舗等の老朽化」(37.2%)」を大きく引き離した。3番目は「商圏人口の減少」(31.1%)となっている。

出所:「令和7年6月 商店街実態調査報告書」(図表はクリックすると拡大)

Ⅱ.商店街の活性化に向けて

 商店街の課題には、

1.周囲の過疎化が進行して、空き店舗や更地、駐車場ばかりになる。

2.廃業した店舗が、賃貸物件や福祉施設などになりがち。

3.新規開業した店舗が定着しない。

4.日常生活に車が欠かせない現代人にとって、駐車場がない商店街からは足が遠のく。

5.一方、高齢者など車を持たない人にとっては、商店街は欠かせない存在となる。 しかしながら、空き店舗の増加などでその魅力が低下し、寂れていくところが多い。

6.一過性のイベントなどを行っても、継続的な活性化策が伴わないものはその効果が限定的。

 などがある。他の商店街や大型商業施設には見られない特色を持った商店街づくりが肝要であり、商店街そのものの価値を上げていくことが重要となろう。ところが、このような課題などから、活性化策や方向性を見出すのはなかなか容易ではない。これに1つの答えを出しているのが、新潟市の沼垂地区にある『沼垂テラス商店街』である。

       ※以上、【前編】終了。次回は「沼垂テラス商店街」の取組みについて記載する。

(2026.1. 9  杉本 士郎)

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