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長崎経済研究所

地域の魅力を深堀りする
~長崎初のメタ観光ワークショップが開催されました

 2023年11月25日(土)、長崎市大浦地区ふれあいセンターにて『長崎居留地メタ観光【※1】ワークショップ presented by STLOCAL 』 が開催されました。

【※1】メタ観光とは、これまで観光資源として認められていなかった地域の多様な魅力や価値といった複数の情報を、多層的(メタレベル)に付与し、それを可視化して重層的に楽しむ新しい観光のこと。詳しくは2023年2月の当サイト掲載調査記事、“まちの魅力を可視化する『メタ観光』”前後編を参照ください。

 このワークショップは、表題にある通り、株式会社ゼンリン(以下、ゼンリン)が長崎市で展開している観光型MaaS【※2】アプリ「STLOCAL」【※3】主催で、長崎市が共催、その運営を一般社団法人メタ観光推進機構(以下、メタ観光機構)が担いました。今回は、メタ観光機構から代表理事の牧野氏をはじめ、真鍋・菊地両理事とそのスタッフが来崎して、地域の住民を中心に20人ほどの参加者の議論をサポートしました。

【※2】MaaS(マース)とは、「Mobility as a Service」の略で、公共交通などの移動サービスと、観光や医療など交通以外のサービス等を最適に組み合わせて、検索・予約・決済等を一括で行うサービスのこと。

ワークショップのようす
【※3】STLOCAL」(ストローカル)について(表はクリックすると拡大)

 今回対象とした地域は、長崎市大浦地区を中心とした居留地エリアです。参加者の皆さんには、まず青色の紙にグラバー園や大浦天主堂など、いわゆる有名観光施設や情報を書いてもらいました。次に、黄色の紙に市民の方や山手で暮らす人しか知らないような地域固有の情報、魅力的な情報を書き出していきます。それから、赤色(ピンク色)の紙にレイヤー【※4】情報を記していき、その赤色紙[レイヤー情報]の下に、青色紙[メジャー観光情報]と黄色紙[地域固有の情報・魅力的な情報など]を並べていき、地域の情報を整理しました。

 そうして最後に、これら地域の情報を記入した3色の紙を、長崎港から居留地エリアにかけての地図に貼り付けました。

【※4】いわゆるカテゴリー。従来の観光資源である「文化財」や「景色」などに加え、これまでの観光概念にない視点、例えば「アニメの聖地」「地形」「暗渠」「看板」などと多様なくくりが推奨される。多様なレイヤーがあればあるほど、地域の情報が濃い観光マップとなる。

青色・黄色・赤色の紙ごとに、それぞれ情報を記入していきます
メタ観光の核となる黄色紙の情報。「ねこ広場のねこ」「孔子廟の屋根」など、通常の観光情報にはない固有の情報が書かれていきます(写真はクリックすると拡大)。
ゼンリン提供の地図。メタ観光機構・牧野代表理事の話「これまでのメタ観光ワークショップでは、参加者の目前で情報を実際に地図に貼り付けて説明するところまではできない。今回、「STLOCAL」の主催で実現できました」(写真はクリックすると拡大)。
レイヤーごとに分けて地図に貼り付けていきます。
地図に貼り付けた情報(黄色紙)の例(写真はクリックすると拡大)。
最後に参加者の前で発表します

 ゼンリンビジネス企画室MaaS担当 ・藤尾氏は、「今回のワークショップは『STLOCAL』に現在掲載してない観光コンテンツの掘り起こしが目的です。例えば『STLOCAL』に“地元のおすすめ”などといった新カテゴリーを作成することで、今回掘り起こした多様な観光情報を掲載したいと考えています。さらに、このワークショップを来年度以降続けていくことも検討しています」と話しています。

 また、メタ観光機構の牧野代表理事も、「『すみだメタ観光マップ』や『臨海副都心メタ観光マップ』のようなレイヤーデータの作成をここ長崎でも行うことで、ある程度コンテンツが充実していきます。そうなると、『長崎メタ観光マップ』として、長崎のさまざまな観光関連サイトなどへの掲載も今後可能になってくるでしょう」と話しています。

 

 今回、県内初開催となったメタ観光のワークショップですが、これを継続していくことで、長崎市の観光型MaaSアプリ「STLOCAL」のコンテンツが充実し、観光客への多様な情報提供が期待できます。

 また、メタ観光機構が東京で実証している“メタ観光マップ”では、これまで知らなかった情報が可視化されることで、訪れる人だけでなく住民の地元愛の醸成にも一役買っています。もし、“メタ観光マップ長崎版”が県内各地で作成されると、長崎県のことをより深掘りすることとなり、観光客・住民とも長崎をさらに好きになるでしょう。

長崎居留地メタ観光ワークショップに参加した皆さん

(2023.12.5 杉本 士郎)

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