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南島原市沖で海洋研究開発機構が海洋調査 ~無人海底観測機「江戸っ子1号」で水深20~40mを観測~

 
 2023年9月、「南島原市」と「国立研究開発法人 海洋研究開発機構の戦略的イノベーション創造プログラム(第3期SIP)海洋環境影響評価システム開発プロジェクトチーム(神奈川県横須賀市、山本啓之テーマリーダー、以下SIP)」、長崎次世代海洋研究会(長崎市、安達賢一郎会長)により、南島原沖において海洋調査が行われました。


 この調査は、タコやイカ、タイなどの漁獲量の減少が続く同市が、その原因を究明すべく、同研究会とSIPに依頼して市の沖合5か所で行ったものです。
 調査に使われたのは、水中カメラを搭載した「江戸っ子1号」。これは、レアアースや生物など海洋資源を調査する無人の海底観測機で、東京や千葉の中小企業の技術が生かされたものです。これまで、南鳥島沖における2年間の長期観測、世界で初めて深海7800mに生息するエビや魚を撮影するなど「海洋のみえる化」に貢献してきました。
 今回、SIPにとって、同種調査の依頼を地方自治体から受けるのは初めてであり、また、新型カメラの性能の確認やデモンストレーションといった点でも貴重な機会となりました。


江戸っ子1号COEDO petite型の仕様

出所:©SIP/JAMSTEC

注 :今回の調査で使用した3機種(型)のうちの1つ。


 9月21日から25日にかけて、同市の加津佐・西有家・有家・布津・深江沖合において順次、漁船から江戸っ子1号を投入し、水深20m~40m付近に設置。調査後は音響ないしタイマーで錘から切り離し浮上したところを回収しました(加津佐は投入の4日後、他は翌日)。調査にあたっては現地の漁業者と協力して環境に負荷のないよう配慮して行われました。


 江戸っ子1号が記録した映像を見ると、たくさんの動物性プランクトンや魚、クラゲの姿も映っています。また、海底は白い砂地で綺麗な状態でした(ヘドロ等は見えませんでした)。短期間の定点観測なのですべての海域がそうだとはいえませんが、貴重な資料であり、調査結果が有明海の現状把握と水産資源の回復に役立つことが期待されます。 海洋県長崎において最先端の技術と機材でこのような調査が行われたことは意義深いものであると感じました。


江戸っ子1号ほか関連機材


注 :回収した機材を洗浄している様子。水をかけているものが江戸っ子1号。水をかけている人物の足元にあるのは錘。手前にあるのはブイ。

(2023.10.6 宮崎 繁樹)

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