株式会社長崎経済研究所は、2023(令和5)年6月6日~22日にかけて、長崎商工会議所とともに長崎商工会議所会員事業所を中心に選出した長崎県内企業336社に対し、人材の確保に関するアンケート調査を実施しました。調査は、Googleフォームを使用(WEB調査)し、211社から回答をいただきました(回答率:62.8%)。
【属性】
◆「長崎市及び周辺地域(時津町、長与町)」が約7割。業種は「卸売業」が最多
回答企業の所在地は、「長崎市及び周辺地域(時津町、長与町)」が約7割。次いで「佐世保市及び周辺地域(佐々町、波佐見町、川棚町)」が1割と、二大都市圏で8割を占める。また、業種別では、「卸売業」が17.5%と最も多く、次点が「建設業」の16.1%。これに「その他機械器具製造業」が12.8%で続く。
【正社員、非正社員の数】
◆正社員数、非正社員数ともに「1~20人」がトップ
正社員の数は、「1~20人」が32.2%でトップ。次いで「21~50人」が23.2%。非正社員数では、「1~20人」が66.0%と最も多く、「31~100人」が13.4%、「21~30人」が11.7%と続く。
【正社員、非正社員の確保の状況】
◆正社員の確保状況は7割近くが不足。一方、非正社員は「適正」が半数超え
正社員の確保状況で、「やや不足」の割合が43.1%と4割を超えており、「不足」(23.9%)と合わせた不足割合は67.0%に上る。一方、パートなど、非正社員の確保状況は、「適正」が56.7%と半数を超えている。
【正社員の新卒採用】
◆高卒、大卒ともに不足感が大きい。
高卒の新卒採用は、「不足」が最も多く26.3%で、「やや不足」(20.6%)と合わせた不足感は46.9%。また、大卒の新卒採用も、「不足」(23.1%)と次点の「やや不足」(18.8%)を合わせて41.9%と、高卒とともに不足感が大きいことがうかがえる。一方、専門学校・短大卒の新卒採用で、「採用していない」が46.6%と最も多い。
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【正社員の中途採用】
◆高卒、大卒の不足感が強い
高卒の中途採用は、「やや不足」(29.5%)と「不足」(25.2%)合わせた不足感が54.7%と5割を超える。また、大卒の中途採用でも「やや不足」(29.2%)と「不足」(26.3%)を合わせて55.5%と不足感が強い。また、専門学校・短大卒の中途採用の不足感(「やや不足」25.8%+「不足」21.1%)も46.9%と比較的高いながら、「採用していない」も29.7%と3割近い。
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【人手不足の見通し】
◆人手不足の状況が(現在と)変わらない、悪化予測ともに4割台と深刻
今後の人手不足の見通しについて尋ねてみたところ、(人手不足の状況が)「変わらない」が46.2%で最も多く、さらに「やや悪化する」(28.6%)と「非常に悪化する」(13.1%)とを合わせた悪化見通しも41.7%と、人手不足との回答が9割近くとなった。一方、人手不足の解消見通しは、「やや解消する」(10.1%)と「解消する」(2.0%)とを合わせて12.1%にとどまる。
【人手不足の職種】 (複数回答)
◆「作業員的職種(建設・製造・清掃・包装など)」における不足感が最も高い。
最も人手が不足しているとされた業種は、「作業員的職種(建設・製造・清掃・包装など)」が40.6%でトップ。以下、「販売の職種(営業・商品販売など)」(38.6%)と「専門的・技術的職種(デジタル化・DX分野の人材を除く)」(36.5%)が、それぞれ3割台。
【人手不足による事業活動への影響】
◆人手不足による何らかの支障があるとの回答は8割
人手不足による事業活動への影響を尋ねてみると、「やや支障がある」が37.4%でトップ。以下、「今後支障が出てくる」(23.8%)、「大きな支障がある」(21.8%)と、何らかの支障があるとの回答が8割以上。
【人手不足による事業活動へ最も支障がある具体的内容】 (複数回答)
◆「売上高の減少」に最も支障あり。業種別ではデジタル化の遅れへの懸念も
人手不足による事業活動へ最も支障がある具体的内容としては、「売上高の減少」が最も多く58.3%。以下、「残業時間の増加」(45.8%)と「技能・技術・ノウハウの承継難」(44.0%)がそれぞれ4割台となっている。
【人手不足対策の最優先課題】 (複数回答)
◆「中途採用の強化」と「採用活動全般の強化」がともに6割以上。
人手不足対策の最優先課題は、「中途採用の強化」が66.8%、「採用活動全般の強化」も63.3%と、この2項目が6割以上で圧倒的。以下、「業務・工程の見直し・効率化」が34.2%、「デジタル化・DXの推進」26.0%、「外注・委託の増加」が23.5%。
【人材の確保・定着のために最優先で取り組む対策】 (複数回答)
◆「賃金水準や時給の引き上げ」が圧倒的。業種別では業界ごとの実情が反映
人材の確保・定着のために最優先で取り組む対策を尋ねたところ、「賃金水準や時給の引き上げ」が75.6%と、他を圧倒。次いで「退職(予定)者の再雇用」(33.2%)、「福利厚生の充実」(31.2%)となっている。
【人材の採用活動】 (複数回答)
◆最も注力している採用活動は「ハローワークの活用」
人材の採用について、最も注力している活動は「ハローワークの活用」とした割合が72.2%と最も高かった。
以下、「民間の就職サイトの活用」が37.4%、「県内の高校・専門学校・短大・大学等に出向いて会社説明をしている」33.8%、「学生向けのインターンシップを実施している」が27.3%、「県内の合同会社説明会に参加している」の24.2%が上位5つ。
【希望する人材像】 (複数回答)
◆希望する人財は「コミュニケーション能力のある人材」がトップ。
どのような人材を確保したいのかを尋ねると、「コミュニケーション能力のある人材」が8割超と圧倒。次点の「忍耐力のある人材」も5割近くを占めた。
【人材確保のための施策等について】 (複数回答)
◆人材確保のための施策は「Uターン・Iターン希望者の掘り起こし」が最多。
人材確保のための施策について必要と思われるものについては、最も多かったのが「Uターン・Iターン希望者の掘り起こし」(56.8%)であった。これに、「人材確保に関する助成制度の充実」(47.2%)、「地元企業と地元学生、学校とのマッチング機会の充実」(44.7%)、「地元企業の採用情報の広報強化」(41.2%)が各4割台で続く。
(2023. 9.15 杉本 士郎)