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長崎経済研究所

「都市部企業×地方で働く」

 長崎経済研究所では、2021年9月から10月にかけて、地域活性化につなげるイベント「都市部企業×地方で働く」を2回にわたって開催しました。

 開催に協力いただいた、Innovation Space DEJIMA、一般社団法人Work Design Lab、SHIBUYA QWS、長崎市、雲仙市、長崎県、NIGAICREWの皆様にお礼申し上げます。

 このイベントの模様を2回に分けてご紹介します。


第1回  オンラインイベント【都市部企業×地方で働く】開催

 9月22日(水) の夕方から開催された本イベントについてご報告します。

 当日はオンラインで関東、福岡、長崎県内より約50名の方々にご参加いただきました。


 初めに主催者として長崎経済研究所 三井社長の挨拶によりオンラインイベントがスタートしました。

 続いて東京からお2人の方にご講演いただきました。

 最初にお話しいただいたのは、長崎の魚を売り出す『おさかなサブスク』プロジェクトで実際に都市部企業×地方を実行している伊藤忠インタラクティブ㈱の土居さんです。


 「ピンチはチャンス?!距離をぶっとばせ!」と題して、ユニークなイラストを交えてコロナ禍での東京×長崎の取り組みのリアルな感覚をお話しされました。

【伊藤忠インタラクティブ㈱ 土居さん】

 「『おさかなサブスク』プロジェクトを通して感じているのは、『東京×長崎』それぞれの立場で難しさや限界もあるかと思いますが、今この時点での鍵は、コロナ禍をどう捉えて、個人の思いと縁をその中でどう伝染させていくかということ。表現は違っても近い物があると感じました。」

土居 充

伊藤忠インタラクティブ株式会社プロデューサー

長崎おさかなプロジェクトのメイン担当。デザイナー出身のプロデューサー。元エンジニアであったり、WEBメディアやイベント企画等、担当領域を越境し、新しい取り組みを考えることを得意としている。


 次に、「企業と地域の新しい関わり方~ 長崎市・茂木で実践する「人材育成」「事業開発」の未来 〜」と題して、(一社)Work Design Labの石川さんに示唆に富んだお話をしていただきました。


【(一社)Work Design Lab 石川さん】

 『地域と企業との新しい関わり方』とは、首都圏を中心に、働き手である個人の価値観が変化し、それを追うように企業の変化も始まっています。個人の変化を捉え、長崎に新しい関係性の入口を創り、個人、企業を呼び込んでいきましょう。

一般社団法人Work Design Lab代表理事/複業家 リクルートの事業開発部門のマネージャーを経て現在、都内の大手事業会社にて勤務。2012年より社会起業家に対して投資協働を行うSVP東京のパートナーとしても活動。2013年にWork Design Labを設立し「働き方をリデザインする」をテーマにした対話の場づくりや、イントレプレナーコミュニティの運営、また企業や行政等と連携したプロジェクトを複数手掛ける。2017年に経済産業省「兼業・副業を通じた創業・新事業創出事例集」選出。2018年にAERA「生きづらさを仕事に変えた社会起業家54人」選出。2020年には経済同友会の政策提言「多様な人材の活躍に向けた現状認識と課題」の中で「望ましい兼業・副業のあり方」の具体事例として紹介される。総務省 地域力創造アドバイザー、中小機構 TIP*Sアンバサダー、ひろしま産業振興機構 創業サポーター、長崎県 CO-DEJIMAアンバサダー、関西大学 イノベーション人材育成プログラム メンターなども務める。1978年生まれ、三児の父。


 その後、休憩を挟んでパネルディスカッションを行い、テーマを掘り下げていきした。

 パネリストの意見をご紹介します。

【Innovation Space DEJIMAの五十嵐さん】

 都市部企業が地域と関わる意味や、その背景にあるストーリーについて、企業の存在意義が社会課題志向を強めていますが、その背景のひとつに個人の生き方や価値観の変化があると考えています。企業と個人の変化が、地域と都市の関係変化とシンクロしている部分も多いのが、コロナ禍で顕在化されています。新しいことを進める上で、企業ではストーリーメイキングが必要で、そのためには熱量高く動く人のパワーが熱源となるとあらためて感じました。  長崎の熱源の高さを感じる一方で、都市部としては、よりこのムーブメントを日本中に広げるような意義付けをできるといいなと思います。

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社

未来技術研究所プロデューサー 五十嵐 知宏

オープンイノベーションプログラム担当プロデューサー、Innovation Space DEJIMA運営リーダー。以前は、通信事業者向けのシステムアーキテクチャー設計等を担当。2006年より米国法人(現ITOCHU Techno-Solutions America, Inc)出向、現地スタートアップとのアライアンス構築を担当、その後クラウド関連先端ソリューション開発をリード。各種コミュニティ活動や、DEJIMAパートナー企業との共創ワークショップ開発。CTCのDNAである海外スタートアップのイノベーションを機軸にした新規ビジネス創出を得意とし、多様な働き方や、企業と個人の新しい関係を各エンティティにどうインストールするか試行錯誤する日々。コロナ禍となった現在はデジタルツイン、地域連携などのプロジェクト推進に注力中。


【SHIBUYA QWS 星川さん】

 「SHIBUYA QWSの運営を通じて感じた、関係人口創出の可能性についてですが、今回のイベントでは改めて長崎の魅力を再認識することができました。一方で、まだまだ「人」や「事」ではなく「場」や「食」に目を向けがちな現状を垣間見ることもできました。『地方が「魅力」と「課題」をバランスよく都市部に伝えるには?』という新たな問いが生まれました。

SHIBUYA QWSコミュニティマネージャー

ジャングルクルーズの船長→不動産仲介営業→ホテルの開業と運営→駅員→SHIBUYAQWSという異色の経歴を持ち、 趣味は「映鑑賞と苦情対応」 というSHIBUYA QWS事務局ではトップクラスの変人。人生のモットーは「まじめにふざける」。遊び心の中か ら、 新しいアイデアが生まれる。 笑顔溢れる空間が、新しい社会価値の種を創造するのだと、本気で信じている。


 NAIGAICREWメンバーとしてパネルディスカッションの進行を担った長崎の自治体職員からは以下の感想がありました。

【長崎県 新産業創造課 松尾さん】

 当イベントを通じ、改めて地方の可能性を感じました。しかしながら、その可能性を実現させるためには、行政や金融、大学、メディア等が連携しつつ、外から地方(長崎)をみる個人さらには企業に対し、地方へのブリッジとしてそれぞれの役割を果たさなければなりません。 このブリッジを県内各地域に広げながら、地道に発信していくことが、地域のファンを生み出し、地方の可能性を体現できる近道であると感じました。


【長崎市 産業雇用政策課 山田さん】

 都市部の企業が地方に大きな関心を示していることにチャンスを感じる一方で、その中でいかに長崎を選んでもらうかの理由作りに関して、地方側が果たすべき役割の大きさを痛感するとともに、今後取り組むべき方向性に関して多くのヒントもいただきました。

【雲仙市 観光物産課 宮原さん】

 東京と地方におけるマッチング可能なニーズは確実に増えています。この土地でしか成し得ない、ならではの課題提示などで、双方を高め合い、選ばれていく方策の検討が必要です。従来のハード面での企業誘致が困難な中、個で繋がるソフト面での課題解決型の企業誘致の可能性を感じました。


 サテライトオフィスの候補地である長崎市茂木地区の紹介をしていただいた㈱ここから長崎の大島さんからは以下の感想をいただきました。


【㈱ここから長崎 大島さん】

 イベントを通じて、県外企業側の地方への興味関心の高さを伺えたことがよかったです。これまで地域単位で取り組んでいた地方創生の取組みについて官民横断となって取り組む環境が出来つつある状況が個人的には大変嬉しいです。 ただし、サテライトオフィスとして地方に求められる環境についてもっと深掘していく必要性があると感じた点について解像度を高めていきたいです。


 オンラインで聴講いただいた方からの感想も寄せられていますのでご紹介します。

 都市部と地方を連結させる為には、都市部・地方双方にコーディネーター的役割を果たせる人財の確保の必要性を強く感じました。(福岡県)

 長崎は、新産業創出に関する関係機関の連携の深さが他地域に比べ強みであると考えているので、今後もその強みを生かして企業間の交流を活発化させたい。(長崎県)

 長崎で既にこのような取り組みをされている事に驚きました。長崎でサテライトオフィスを計画中ですので是非皆様のお力をお借りしたいです。(長崎県)

 石川さんのお話からは、働き方のニーズの変化に目を向け対応していくことの重要性を改めて実感しました。非金銭的報酬のコンセプトについては、実際にコミュニティがあることや行動を起こされている方々の例を聞きいい刺激を受けました。自身の非金銭的報酬とは何かを考えてみたいと思いました。(埼玉県)


 今回のイベントを受けて、10月29、30日にはREAL EVENT「【都市部企業×地方(長崎)で働く】を考える」を開催しましたので、その内容は、別途投稿いたします。

 

(2021年12月21日、寳珠 真一)


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