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長崎経済研究所

【新しい風】誰かの『好き』が新しい景色をつくる

~長崎で生まれた推し巡りという挑戦~

一般社団法人 推し巡り協会 理事長 平野 隆成(ひらの りゅうせい)

略歴

1993 年 –  長崎県長崎市生まれ

2012 年 – 同志社大学  理工学部  機能分子・生命化学科 入学

2019 年 – 長崎県長崎市にUターン

2023 年 –   一般社団法人 推し巡り協会 設立

あなたは『長崎』をどれだけ知っていますか?

 私は⻑崎市に⽣まれ、⼤学⼊学を機に県外に行き、京都・⼤阪・名古屋で計7年間を過ごした後、地元に戻ってきました。県外では、「⻑崎は何が有名なの?」「何が美味しいの?」「ここは行っとけ!みたいな場所ある?」などと、⽿にタコができるくらい何度も尋ねられました。でも、その時の私の答えは決まっていて「特に何もないよ」「なんだかんだでリンガーハットが美味しい」そんな返答ばかりしていました。 ⻑崎のことを知り尽くしてないと「何もない」なんて言う資格はありません。私の長崎での学生生活は、部活動と習い事だけで終えてしまっており、いわば「遊ぶ」ことをしなかったため、「知らない・わからない」が先⾏して、「何もない」と⼝にしていました。故郷を下げるようで罪悪感に苛まれながら…。

『好き』と言える街 ーながさきー

 そんなある⽇、県外⽣活に疲れて地元に戻る決意をした頃、⻑崎市が舞台のアニメ「色づく世界の明日から」に出会いました。⻑崎市出⾝なのにそのアニメの舞台となった場所のほとんどがわからなかったのが悔しくて、帰郷してからその場所をひたすら巡り続けた後、大学時代のブログ運営経験を生かして、このアニメの聖地巡礼[1] をテーマしたウェブサイト「推し巡り」を立ち上げました。全国のオタク仲間と週次MTGをしながらコンテンツ制作に明け暮れた日々は、今でも鮮明に覚えています。さらに、毎週末に聖地巡礼を繰り返して、当該地をiPhoneで撮影した3週間の写真展「色づく長崎写真展」を開催し、全国から416名のアニメファンが訪れてくれた経験は、私の⼈⽣の岐路となりました。この写真展では、まったくアニメを観ない会場のオーナーでさえも、最終⽇にはアニメの全キャラクターの名前を⾔えるほどの熱いファンになっています。意外と気づかれていないことですが、『好きなことを好きと⾔える街』それが“ながさき”なんです。

「色づく長崎写真展」※iPhoneで撮影した3週間の写真展の様子

[1] アニメや漫画、映画、ドラマなどのロケ地をファンが訪れること

自分のアイデアは特別ではない

 写真展の開催がきっかけとなり、2023年8月に⼀般社団法⼈推し巡り協会を設⽴、起業しました。この時、どのような事業を行っていこうか漠然としているなかで、ひとつブレなかった考えがあります。それは、「所詮自分が思いつくアイデアは、すでに他の誰かが試しているに違いない。その結果、いまの世の中に出ていないのであれば失敗する事業なのか、そもそも需要がないのかのどちらかだ。自分のアイデアが特別だということはありえない。」です。そうして試行錯誤するなか、以前から「県外から⼈が来てほしい!と叫ぶばかりで、受け入れ態勢ができているのか?」という点に疑問があった私は、「ペットボトルや空き⽸・タバコの吸い殻が捨ててある地域に⾏きたいと思うか?」を自問自答していたことを思い出し、「⻑崎に⾏きたい!また来たい!」と思ってもらえるように、地域住⺠とアニメファンが協⼒してアニメの舞台を保全していく活動を始めました。

 こうして着⼿したのが、月1回の公園清掃です。“アニメの聖地”と“清掃活動で綺麗にすること”とを掛けて、『清地化プロジェクト』と名付けたこの活動は、もう2年以上続いており、なんと千葉市でも毎⽉当協会の仲間が掃除を続けています。この活動には、毎⽉10名ほどの参加者がおり、そのうち3名ほどは初参加の⽅だったりします。2025年9月には、当活動の一環として株式会社JTBとのコラボで、県内外から40名以上が参加して同アニメが舞台となった海岸を清掃する“ビーチクリーン”を開催し、⾷事交流会で盛り上がるなど成功を収めました。

 私が最初に思いついたことなどはほとんど起こり得ないと思うので、要は、複数の要素を組み合わせて事業を展開することに価値があるのだと思っています。

『清地化プロジェクト』に参加したメンバー①
『清地化プロジェクト』に参加したメンバー②
『清地化プロジェクト』に参加したメンバー③
主な回収物

何をやるかではなく、誰と成すか

 起業して2年、現在も清掃活動や南山手レストハウスで常設展示の写真展「まちなか推し巡り展」などの⼩規模イベントを続けています。当初に比べると、仕事の相談をいただくことが圧倒的に増えました。なかでも、2025年3⽉16 ⽇(日)に出島メッセ⻑崎で開催した⻑崎県最⼤級のサブカルイベント『DENDERA(でんでら)』は、さまざまな意味でとても良い経験となりました。出島メッセ長崎からお話をいただいた際には、このような⼤規模イベントを主催したことがなく、私⾃⾝コスプレなどしたことがなかったために、まずは『ユーザーの気持ちを知ることが⼤事だ』と思い、自らコスプレイヤーに挑戦してみました。それからは、積極的に他所で開催されているイベントに参加して、「ここは真似したい」と思う部分を⾒つけては、⾃社事業に導入していきました。その結果、この『DENDERA』は、その告知期間が3ヶ月間と短かったにもかかわらず1,500名以上の参加者があり、⻑崎市の「長崎創⽣プロジェクト事業」第88号にも認定され、⻑崎新聞に掲載されました。このような短期間で成し遂げられたのも、⽀えてくれた多くのスタッフの協力があってこそです。まさに、「何をやるかではなく、誰と成すか」を痛感したビッグイベントでした。  

 また、多くの方のご助力により、2026年3月21日(土)には「DENDERA㏌ 出島メッセ長崎」の第2回開催も決定しています。前回よりもさらにアップデートし、2,000名以上の参加者を見込んでいますので、ご都合のよろしい方はぜひお越しください!。

南山手レストハウス
常設展示の「まちなか推し巡り展」
長崎創生プロジェクト事業認定式の様子

これから

 今と変わりませんが、どのような事業においても「⾃分⾃⾝がワクワクするのか」を判断基準とし、ワクワクを共有できる⼈とともに成すことを最優先事項にしていきたいと考えています。ユーザーの方には、当⽇までのSNS発信を含め、運営者の表情や声⾊など、さまざまな何気ないことが伝染します。数多くの経験から「誰と成すか」を第⼀に考え、ともに継続できる道を模索することが、モチベーションの維持にも繋がるのだと感じました。

 今後の課題は、「私の事業にどれだけの⼈が共感してくれるのか」であり、またそれが当協会の伸び代にもなります。これからは、私の思い描くビジョンが想像できるようなプレゼン能⼒をもっと磨いていきたいと思います。作品の版権の都合上、掲載できていない他の事業もありますが、設⽴から様々なことにチャレンジしてきました。応援してくださる法⼈会員・個⼈会員ともに絶賛募集中ですので、ぜひお問い合わせをお待ちしております。

「DENDERA」参加者の集合写真

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