■ 調査対象 :県内主要企業375社
■ 調査方法 :WEBと郵送を併用しアンケートを実施
■ 調査期間 :2022年4月21日~5月31日
■ 調査事項 :2022年春の採用実績(人数、初任給)、2023年春の採用計画
■ 回答企業数:製造業48社、非製造業150社、合計198社(回答率52.8%)
このうち「定期的な新卒者の採用は行っていない」とする57社を除いた有効回答企業数
は製造業34社、非製造業107社、合計141社(回答率37.6%)。
1.今春の新卒者採用状況 ―採用者数は前年を上回る―
(1)採用実施企業の割合 ―42.4%、前年を3.4ポイント下回る―
調査回答企業198社のうち、今春新卒者を採用したのは84社で、その割合は42.4%と前年同期調査(同216社のうち99社、45.8%)を3.4ポイント下回った。
内訳をみると、「前年より増やした」(前年同期45社、構成比20.8%→今回27社、13.6%)とする割合は7.2ポイント低下。一方、「前年より減らした(応募が少なかった)」(同10社、4.6%→15社、7.6%)と「今年は応募が無く、採用できなかった」(同26社、12.0%→30社、15.2%)を合わせた‘計画通りに採用できなかった’企業の割合が6.2ポイント上昇した(16.6%→22.8%)(図表1)。
図表1 2022年春新卒者採用状況(前年同期調査との比較)
(2)採用者数 ―前年比11.3%増―
今春新卒者を採用した企業84社の採用者数は403人で前年採用実績(362人)を11.3%上回った。学歴別内訳は、大学院卒34人、構成比8.4%、大卒118人、同29.3%、短大・高専卒52人、同12.9%、高校卒199人、同49.4%となっている。
採用者数を業種別にみると、製造業全体では125人、前年実績比58.2%増となった。輸送機械(42人、50.0%増)、食料品(36人、80.0%増)、電気機械(17人、21.4%増)、一般機械(12人、71.4%増)など各業種が増加した。一方、非製造業では278人、同1.8%減となり、このうち、小売(94人、23.7%増)、運輸(35人、20.7%増)は増加したものの、建設(65人、15.6%減)、卸売(43人、12.2%減)、サービス(38人、17.4%減)は前年を下回った。
学歴別・業種別にみると、大学院卒は輸送機械でほぼ倍増、大卒は小売、建設、サービス、輸送機械で増加し、卸売、運輸で減少した。また、短大・高専卒は小売、運輸、一般機械、電気機械が増加、高校卒は建設、サービスを除いて増加した。
次に、企業規模別・学歴別にみると、大企業はいずれの学歴も大幅増加し全体として前年を51.8%上回った。中小企業は例年採用数が多い高校卒(20.4%減)が大幅減となったことから前年を7.3%下回った(図表2)。
(3)初任給 ―前年比やや増加―
初任給額(回答企業の単純平均)をみると、大学院卒が224,364円で前年比1,865円(0.8%)増、大卒が192,487円で同1,963円(1.0%)増、高校卒が159,482円で同916円(0.6%)増と、いずれも前年をやや上回った。短大・高専卒は172,600円で増減がなかった(図表4)。
2.来春の採用計画 ―‘今年並み以上’の採用計画ありが8割強―
有効回答企業(141社)のうち2023年春の採用計画について回答があった131社の計画をみると、新卒採用を行うとした企業は86.3%と、前年同期調査の計画(78.7%)比7.6ポイント上昇した(図表5)。
図表5 2023年春の採用計画(前年同期調査との比較)
採用方針の内訳をみると、「今年より増やす」(38.9%)と「今年並みに採用」(43.5%)を合わせた‘今年並み以上’の採用計画を立てている企業の割合は82.4%と前年同期調査(同141社のうち92社、65.2%)を17.2ポイント上回った。一方、「今年より減らす」(3.8%)と「今年は採用したが来年はしない」(3.8%)の採用数を減らす企業の割合は7.6%にとどまった。
これを業種別にみると、‘今年並み以上’とする企業は、製造業は84.9%(前年同期調査69.8%)、非製造業も81.6%(同63.3%)と高い割合となっている。
企業規模別にみると、大企業で「採用する」と回答したのは90.4%と前年同期調査(76.2%)を14.2ポイント上回り、そのうち‘今年並み以上’とするのは80.9%(前年同期調査47.6%)にのぼる。また、中小企業では「採用する」との回答が85.4%で前年同期調査(79.1%)を上回り、‘今年並み以上’が82.7%(同68.3%)となるなど、いずれも採用に意欲的な企業割合が高い(図表5、6)。
コロナ禍が幾分落ち着きを見せるなか、県内企業の採用意欲は総じて高いとみられる。ただし、計画通りの採用ができなかった企業も少なからずあることから、人材不足の状況が続いているものと考えられる。そのため、来春の採用計画についても、コロナ禍収束後の事業展開を見据えて必要な人材を確保しようという前向きの姿勢がうかがえる。
(2022年6月8日 宮崎 繁樹)