■ 調査対象:県内主要企業380 社(回答企業数252 社、回答率66.3%) ■ 調査方法:WEB と郵送を併用しアンケートを実施 ■ 調査期間:2021 年10 月28 日~ 11 月30 日 ■ 業種別内訳:製造業63 社、非製造業189 社 ※ BSI について:BSI は回答企業の「好転・増加・上昇」とする企業割合から「悪化・減少・下落」とす る企業割合を差し引いた指標。 |
○ 全産業の業況判断BSI をみると、2021 年7~9月期実績は△ 18 となり、前期(△9)から悪化した。足もと10 ~ 12 月期(実績見込み)は、燃油や鋼材・木材等の資材価格上昇の影響がみられるなか、新型コロナウイルス新規感染確認者数が減少し外出自粛の動きが和らいだことから△ 12 とやや持ち直し。先行きについては、新型コロナ第6波への懸念が徐々に和らぐとともに、ペントアップ(繰越)需要が顕在化していくことへの期待などから22 年1 ~ 3 月期は△ 3 と持ち直す見通し。
○ 経営上の問題点(3 つ以内の複数回答、全産業計)のトップは50.6%を占めた「売上・受注の不振」。これに「仕入商品又は原材料価格の値上がり」が45.0%で続き、「人材不足」が39.8%となっている。
全産業の業況判断BSI をみると、新型コロナ感染確認者数の増減に左右される状況が続いている。新規感染確認者数が増加し、外食や旅行などが減少した2021 年7 ~ 9 月期実績は△ 18 となり、前期(△ 9)から悪化。足もと10 ~ 12 月期(実績見込み)は、半導体不足や鋼材・木材等の資材の値上がりや燃油高がみられる一方、感染確認者数が減少し、外出自粛の動きが和らいだことなどからBSI は△ 12 へ持ち直し。第6 波への懸念や、供給制約や原材料価格上昇などの影響が徐々に和らぐとともに、ペントアップ(繰越)需要の顕在化が期待されることから、先行き1 ~ 3 月期は△ 3と持ち直す見通し。
製造業の業況判断BSI をみると、21 年7 ~9 月期実績は△ 21 となり、前回見込み(△ 19)を下回ったが、10 ~ 12 月期実績見込みは△ 8となり前回見通し(△ 14)を上回った。22 年1 ~ 3 月期先行きについても△ 3 とマイナス圏ながら持ち直す見通し。
このうち造船、一般機械では、鋼材や原油等の値上がりによるコストの増加や部品等の調達難などから厳しい経営環境が続く。また、食料品では、原材料費や物流費の上昇の影響がみられるものの、コロナ感染確認者数が減少したことから需要が戻り、BSI は足もと・先行きとも回復する見通し。
非製造業の業況判断BSI は、21 年7 ~ 9 月期実績は前回見込み(△ 11)を下回る△ 16 となった。10 ~ 12 月期見込みは△ 14 と持ち直し、先行き22 年1 ~ 3 月期も△ 3 と持ち直す見通し。
このうち小売業では、コロナ禍の影響による客足の戻りが鈍く、足もとはBSI が大幅にマイナス圏となっている。先行きは、長期化するコロナ禍のなかで変化する消費者の嗜好を捉えようと、内食需要への対応や外商の営業強化などの動きがみられ、持ち直す見通し。
サービス業では、10 月以降、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が解除され、ワクチン接種が進んでいることから、人流が徐々に戻りつつある。飲食・宿泊業などでは、先行きのBSI は回復する見通し。もっとも、消費者の感染症への警戒感は依然強く、団体旅行や忘年会などは控える動きもみられる。
このうち、全産業の雇用人員のBSI をみると、足もとでは△ 24 と不足感が強く、先行きも△ 25 と大幅マイナス人員不足)の見通し。製造業では不足感が幾分和らぐ一方、非製造業では大幅な不足感が続く見通し。
全産業の仕入価格のBSI は、原材料費等の値上がりを反映し大幅なプラス。全産業の販売価格のBSI は、足もと・先行き14 と横這いの見通し。仕入価格BSI の高止まりが続くなか、非製造業より製造業において、燃油費や資材・原材料費などの上昇分を自社製品等の販売価格に転嫁する動きがうかがえる。
経営上の問題点(3 つ以内の複数回答、全産業計)は、「売上げ・受注の不振」が50.6%でトップ。「仕入商品又は原材料価格の値上がり」が45.0%となり、前回(28.7%)から大幅に増加した。これに「人材不足」が39.8%で続く。
このうち「仕入商品又は原材料価格の値上がり」については、「鋳物原材料・鋼材価格の上昇が利益を圧迫しており、取引先に販売価格の値上げを要請中」(一般機械)や、「原油のほか原材料の高騰、輸入肉の入荷不足により原料肉が高騰していることなどから、売価値上げをどこまで採算ベースに近づけることが出来るかがカギとなる」(卸売業)といったコメントが寄せられた。
「人材不足」については、「コロナの影響でこれまで県外に就職していた若年層を採用できる可能性が高まったことから、今後は採用力の一層の強化を図る」(建設業)といったコメントが寄せられた。
(泉 猛)