ながさき暮らしのデータBOX ~リサチャン★レポート~
長い老後生活への不安や健康維持などを理由に働き続ける人が増加し、65歳以上(シニア世代)の就業率は年々上昇を続けています。そこで、今回はシニア世代の就業について50歳代以下の方と60歳代以上の方にそれぞれリサーチしました。
調査方法 : 長崎県内に居住する18歳以上男女をモニターとするweb アンケートサイト「リサチャン」で実施。
調査期間 : 2025年6月18日(水)〜6月24日(火)
回答者数及び属性 : 387人
年齢別:30歳代以下59人、40歳代78人、50歳代120人、60歳代以上130人
1.10歳代から50歳代の方
(1)「働けるうちは何歳までも働きたい」が4割超でトップ
10歳代から50歳代の方に何歳まで働きたいと思うかを尋ねたところ、「働けるうちは何歳まででも働きたい」が43.2%で最も多く、次いで「65歳まで働きたい」が17.5%となりました。一方、「できるだけ早く辞めたい」は15.6%で、全体でみると上位3番目の回答割合でした。
年代別でみると、40歳代や50歳代に比べて30歳代以下において「できるだけ早く辞めたい」との回答割合が相当に高くなっています(「できるだけ早く辞めたい」30歳代以下:33.9%、40歳代:11.5%、50歳代:9.2%)。
<ここからの設問は、前問で「できるだけ早く辞めたい」と回答した人以外にお尋ねしました。>
(2)仕事を続ける際に重視したいこと、男性は「賃金・報酬が希望に合うこと」(62.3%)、女性は「働く時間が選択できること」(55.4%)がそれぞれトップ
将来、仕事を続ける際に重視したいことを複数回答で尋ねたところ、「賃金・報酬が希望に合うこと」が53.9%で最も多く、次いで「働く時間が選択できること」(49.3%)、「自分がやりたい仕事であること」(47.9%)となりました。
性別でみると男性では「賃金・報酬が希望に合うこと」が62.3%で最も多く、頭一つ抜けています。一方、女性では「働く時間が選択できること」が55.4%で最も多く、男女によって重視することが異なる結果となりました。
(3)仕事を続けるために行っている(または行いたい)ことは、心身の健康に関する事項が上位
将来、仕事を続けるために行っている、または行いたいことを複数回答で尋ねたところ、「健康維持に努める」が54.4%で最も多く、次いで「ストレスを上手に発散する」が33.2%と、心身の健康に関する事項が上位となりました。以降、「現在の仕事のキャリアを磨き上げる」(27.6%)や「求人情報を積的に収集する」(14.3%)が続きました。
(4)できるだけ早く辞めたい理由は、「趣味や社会活動を充実させたいから」が5割近い
次に、「できるだけ早く辞めたい」と回答した人にその理由を尋ねたところ、「趣味や社会活動を充実させたいから」が47.5%で最も多く、特に30歳代以下においてその回答割合が多い(65.0%)結果となりました。仕事だけでなくプライベートや趣味を重視する若者の志向が見て取れます。
2.60歳代以上の方
(1)仕事を「している」と「していない」はほぼ半々
60歳代以上の方に就業の状況について尋ねたところ、「仕事をしている」は48.5%、「仕事をしていない」は44.7%で、ほぼ半々の回答割合となりました。なお、16.2%の方が「仕事をしたいが、していない」と回答しています。
(2)仕事をしている理由は「生活を維持するために必要」が7割超えで群を抜いてトップ
「仕事をしている」と回答した方にその理由を複数回答で尋ねたところ、「生活を維持するために必要だから」が73.0%と群を抜いてトップでした。その他では「働くことで健康維持に役立つから」(34.9%)や「社会参加をしておきたいから」(31.7%)が続いています。
(3)仕事をしたいが、していない理由は、「自身の希望に合わなかったから」
「仕事をしたいが、していない」と回答した方にその理由を複数回答で尋ねたところ、「職種が希望と合わなかったから」と「労働時間が希望と合わなかったから」が同率33.3%で最も多く、次いで「自身の健康上の理由から」(28.6%)、「勤務地が希望と合わなかったから」(23.8%)となりました。仕事は生活を維持するために必要であるものの、自身の希望をないがしろにしてまで「仕事をしたい」という訳ではないということでしょう。
◆自由コメント
【「シニア世代の就業」についてひとこと】
〇高齢化が進み、年金受給も引き上げられている世の中です。食べて行くために働くのは必須ですね。(長崎市、50歳代、女性)
〇経験を重ねてきた事が社会に貢献できることもあると思いますし このご時世、年金だけでは生活していけない現実を抱えている方も少なくはないはず。自身の職場にも90歳で働いていらっしゃる方もいます。(長崎市、60歳代、女性)
〇心身ともに若い人にはかないませんが、経験だけは若い人には負けません。シニア層は若い方に権限を譲りサポートするような仕事が理想的だと考えています。(長崎市、60歳代、男性)
〇地方都市ではなかなか仕事が見つからない。(佐世保市、60歳代、男性)
〇働きたい人は何歳までも働けばよい。働かざるを得ない状況になってしまうのはよくない。(西海市、30歳代、男性)
〇生きがいになっている人、助かっている人、いると思います。(佐世保市、20歳代、女性)
〇老後も働かなければならない世の中は改善していかなければならないと思う。若い世代が将来的に貰える年金も少なすぎるし何のために納めているのか。(大村市、20歳代、男性)
〇働くためには健康を維持する必要があり、医療費削減にもつながるし、健康寿命の延長もできると思うので、就業するのは良いことだと思う。(佐世保市、40歳代、女性)
〇本人の能力等は考慮せず年齢によって一律に退職させるのは、年齢差別と感じる。シニア世代であっても本人のやる気、能力等を客観的・合理的に判断し、公平・公正に就業させるべきと考える。(長与町、70歳以上、男性)
〇無理して仕事をしないでも良い社会にしてほしい(年金で十分に暮らしていけるように〉。(佐世保市、50歳代、男性)
(2025.7.17 村田 聡)