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長崎経済研究所

増える空き家、どう思いますか?

ながさき暮らしのデータBOX  ~リサチャン★レポート~

 人口減少が進み、空き家が増加しています。総務省の2023年住宅・土地統計調査によると、長崎県では住宅65.5万戸のうち17.3%、11.3万戸が空き家です。これには賃貸用・売却用や別荘等が含まれるので、これを除くと全体の9.9%、6.5万戸が空き家となっています。

 有効活用されず、適正に管理されない空き家が増えることは、経済的にも、景観・防災・防犯上など社会的にも悪影響を及ぼします。そこで、今回はこの空き家の問題についてリサーチしました。

調査方法 : 長崎県内に居住する18歳以上男女をモニターとするwebアンケートサイト「リサチャン」で実施。
調査期間 : 2024年8月7日(水)~8月13日(火)
回答者数及び属性 : 386人
【年齢層】 30歳代以下 60人  40歳代 85人  50歳代 128人  60歳代以上113人

※グラフの構成比は、端数処理の関係で合計が100%にならない場合があります。

※クリックするとグラフはすべて拡大できます。

1. お住まいの地域では、空き家が増えていると感じますか? ~7割が「増えていると感じる」~

 お住まいの地域では、空き家が増えていると感じるか、尋ねたところ、全体の69.4%が「増えていると感じる」との回答でした。一方、「増えているとは感じない」は18.1%、「わからない」が12.4%でした。

2. 自宅の周辺に空き家はありますか?  ~6割が「ある」~

  自宅の周辺に空き家はあるか、尋ねたところ、全体の60.6%が「ある」との回答でした。一方、「ない」は22.5%、「わからない」が16.8%でした。

2-2. 自宅の周辺にある空き家で困っていることは? ~ 老朽化で危険、植物繁茂、防犯上不安~

  自宅の周辺に空き家があると回答した234人に、その空き家で困っていることはないか、尋ねたところ(複数回答)、上位を占めたのは「老朽化し、屋根や外壁の落下などの危険がある」(54.7%)、「植物が敷地の外まで繁茂している」(54.3%)、「防犯上不安である」(52.1%)の3つで、いずれも5割を超えました。この他では「ごみの放置や虫の発生など、衛生上の問題がある」が38.9%、さらに「地域の景観を損ねている」が28.6%となっています。一方、困っていることは「特にない」との回答は15.4%にとどまりました。

3. 空き家を所有または管理していますか?  ~現在は1割、将来の可能性なら3割~

 現在、空き家を所有または管理しているか尋ねたところ、全体の10.1%が「所有または管理している」との回答でした。また、「現在はないが、将来、所有または管理する可能性がある」との回答が29.5%となっており、現在の所有・管理に将来の可能性を含めると、空き家の所有・管理の関係者が全体の4割を占めており、身近な問題であることがうかがえます。
 一方、「現在もなく、将来も所有または管理する可能性がない」という回答も半数近い46.4%、さらに「わからない」が13.7%でした。

 年代別にみると、「現在、所有または管理している」割合は60歳代以上が17.7%、50歳代が12.5%と比較的多いものの、「将来、可能性がある」の割合は40歳代が43.5%、30歳代以下でも28.3%となっています。

3-2.現在、所有または管理している空き家で困っていること  ~維持管理の手間・お金がトップ~

 現在、所有または管理している空き家がある人(39人)に困っていることがあるか尋ねると(複数回答)、「維持管理に手間やお金がかかる」との回答が66.7%でトップ、これに「解体するのにお金がかかる」が56.4%で続き、この2つが群を抜いています。この他では、「相続や登記などの手続きに手間やお金がかかる」と「解体すると土地の税金が上がってしまう」がいずれも30.8%となっています。このように、上位には、お金の面での困りごとが並んでいます。

3-3.現在所有・管理している(または将来、可能性がある)物件は? ~「親の住まい」が7割~

 「現在所有または管理」または「将来、可能性がある」いう人(153人)に、その物件を尋ねたところ(複数回答)、「親の住まい」が圧倒的に多く、73.2%を占めました。ほかは「自分の住まい」が17.0%、「親族(親以外)の住まい」が11.1%となっています。

3-4. 将来その空き家をどうするか、関係者で話し合っていますか? ~「話し合っている」は2割強~

 将来、その空き家をどうするか、関係者で話し合っているのか尋ねたところ、「話し合っている」との回答は23.5%でした。また、「話し合っていないが、今後話し合いたい」が47.7%と半数近くを占めており、気にかけていることがうかがえます。一方、「今のところ、話し合う予定はない」という回答は28.8%と3割近くを占めました。

 なお、上の年代ほど、「話し合っている」の割合は高くなるものの、50歳代26.8%、60歳代以上でも35.0%にとどまっており、いずれの年代も「今後話し合いたい」が最も多くなっています。

3-5. 将来、その空き家をどうするか、考えていることは?  ~「売る・貸す」がトップ~

 将来、その空き家をどうするか、考えていることを尋ねたところ(複数回答)、「売る・貸す」が最も多く45.8%、次いで「解体する」が35.9%、「そのまま所有し、管理する」が28.8%、さらに「子や親族に相続する」が16.3%となりました。 一方、「まだわからない」は17.0%にとどまっており、8割以上の方は具体的な対処法を考えていることがわかります。

4. 空き家問題への対策、期待することは?  ~ 修繕・解体などの費用助成がトップ~

 空き家問題への対策として期待することを尋ねたところ(複数回答)、「行政による修繕・解体などの費用の助成」が67.6%と最も多く、これに「空き家の流通・活用の促進、中古住宅市場の活性化」が55.2%で続きました。この他では、「民間団体による空き家の活用などの取組み」(41.2%)と「空き家を所有・管理している人への指導・働きかけ」(40.4%)、「行政による人的支援・相談体制の充実」(36.0%)が4割前後となっています。
 このように、行政に対する期待(費用助成、指導・働きかけ、支援相談体制)とともに、民間への期待(流通・活用促進、中古住宅市場、空き家活用)も大きく、総合的な対策が求められているようです。

5. 空き家に関する取組み    ~比較的知られているのは「空き家バンク」~

 空き家の管理に関する取組みについて認知状況を尋ねたところ、「市町などが運営する空き家バンク」については、「よく知っている」は11.7%ながら「聞いたことはある」が52.6%、両者を合わせると6割強の認知度となっており、比較的知られていました。しかし、「市町が開催する空き家相談会」、「民間団体の空き家相談窓口」、「民間の空き家見守り・管理サービス」などは2~3割にとどまっています。
 今後、空き家に関する相談体制の充実や、流通促進、活用促進などにつながる活動の周知も大きな課題といえそうです。

◎皆さんのコメント 空き家問題・対策についてひとこと

〇もっと賃貸に出回るようになれば活性化すると思う。将来の事を考えると家を「買う」選択肢はないな…と。(長崎市、30歳代女性)

〇長崎の地形柄、空き家が増えるのは仕方のないことだと思う。車が入らないと解体にかかる金額も大きくなるので他県よりも手厚い助成が必要だと思う。(長崎市、30歳代女性)

〇古民家リノベーションの雰囲気が好きな人も多いので、もっと活用が進んでほしい。(西海市、30歳代男性)

〇更地にするか、別の活用へスムーズに出来る方法、情報がほしい。(長崎市、40歳代女性)

〇解体、売却など、どうにかする方法を民間企業が相談に乗るといった「放置しない」ほうがメリットとなるような流れを作ってほしい。(西海市、40歳代女性)

〇選択肢の多様化とワンストップでの情報アクセス。(大村市、40歳代男性)

〇解体や相続がお金かかるのがネックだと思う。(佐世保市、40歳代女性)

〇便利地の空家は売りに出して欲しい。(大村市、50歳代 女性)

〇私も今後住む事のない実家を空き家バンクに登録して運良く買い手が見つかり全て処分しました。これで子供達にも迷惑がかからないと思うと一安心です。(佐世保市、50歳代女性)

〇空き家対策は、無償譲渡が一番早いと思います。売れないと言うことは、物件の立地等に大きく影響してると思われるため。(諫早市、50歳代男性)

〇相談出来る窓口をもっと増やしたら良いと思う。(長与町、60歳代女性)

〇今後増加が予想できるので、早急な対応が必要。長崎市の場合、夜景にも影響すると思われる。(長崎市、60歳代男性)

( 2024.8.15 中村政博 )

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