ながさき暮らしのデータBOX ~リサチャン★レポート
国が昨年、「食品ロス」を減らすために、飲食店などで食べ残した料理を衛生的に持ち帰るときのガイドラインを発表しました。今回はそんな「料理の持ち帰り」についてリサーチしました。
※「かぶり」は料理の持ち帰りを意味する長崎弁です。
調査方法:長崎県内に居住する18歳以上の男女をモニターとするwebアンケートサイト「リサチャン」 で実施。 調査期間:2025年5月21日(水)~5月27日(火) 回答者数及び属性:383人 【年齢】30歳代以下60人、40歳代77人、50歳代125人、60歳代以上121人 |
※グラフの構成比は、端数処理の関係で合計が100%にならない場合があります。
◆ 半数近くが、料理を食べ残したことが ‘ある’
飲食店などで料理を食べきれなかったことがあるか尋ねたところ、「よくある」(5.2%)は1割にも満たないほどでしたが、「たまにある」(38.9%)は4割近くあり、このふたつをあわせると半数近く(44.1%)が ‘ある’ と回答しています。
これを年代別にみると、「40歳代」のみ ‘ある’の割合が5割超(54.6%)ですが、その他の年代は4割程度です。
性別にみると、女性の方が ‘ある’という回答が多くなっています(女性51.6%、男性33.8%)。
◆ 約7割の人が料理の持ち帰りをしたことが ‘ある’
飲食店などで料理が残った場合に「料理の持ち帰り」をしたことがあるか尋ねたところ、「(何度も)したことがある」が11.0%、「(回数は少ないが)したことがある」が60.3%、合わせて約7割(71.3%)の人が ‘ある’ と回答しています。
年代別にみると、「30歳代以下」は ‘ある’ が6割(60.0%)ですが、おおむね年代が上がるほど割合が高く「60歳代以上」は8割近く(77.7%)になっています。
性別にみると、女性が男性よりも ‘ある’の割合が上回っています(女性74.4%、男性66.9%)。
◆ 「料理の持ち帰り」をした理由は、「料理がもったいないから」が9割超、「作った人に申し訳ないから」が約5割
「料理の持ち帰り」をした理由を尋ねたところ(3つ以内の複数回答)、最も多かったのは「料理がもったいないから」(94.1%)で9割を超えました。以下、「作った人に申し訳ないから」(48.0%)が約5割、「支払ったお金がもったいないから」(23.1%)と「お店の人が勧めるから」(21.2%)が約2割でした。
年代別・性別にみても上位2項目は上記と同じです。ただし、「作った人に申し訳ないから」は「30歳代以下」では4割弱(38.9%)ですが、他の年代は5割前後と違いがみられます。また、「支払ったお金がもったいないから」は、男性よりも女性、また年配者よりも若い年代の方が割合が高くなっています。
◆ 飲食店に望むサービスは、7割が ‘容器の提供’ と ‘可否の表示’
「料理の持ち帰り」に関して飲食店に望むサービスを尋ねたところ(3つ以内の複数回答)、「持ち帰り用の容器を提供してほしい」(75.8%)と「可能かどうかを表示してほしい」(73.3%)の2つが7割を超えました。次いで「持ち帰りを勧めてほしい」(46.9%)も半数近くになっています。
年代別にみると、上位3項目は同じです。ただし、「持ち帰りを勧めてほしい」はおおむね年代が若いほど割合が高く、「30歳代以下」(66.7%)と「50歳代」(39.8%)には30ポイント近い差があります。性別にみて大きな違いはありません。
◆ ‘衛生面’ に注意、自己責任も認識
「料理の持ち帰り」をするときに注意していることを尋ねたところ(3つ以内の複数回答)、最も多かったのは「可能かどうかを店に確認する」(74.4%)で7割を超えました。これには、店の許可を得ることと、衛生面で問題ないか確認するという意味合いがあるものと考えられます。次いで多かったのは、「なるべく早く食べる」(50.9%)、「生ものや半生のものは避ける」(49.1%)、「自己責任であることを認識する」(41.8%)、「清潔な容器や箸を使う」(33.3%)と続き、衛生面の意識が高いことがうかがえます。
年代別にみると、「40歳代」以上の年代は「可能かどうかを店に確認する」が7割台、「自己責任であることを認識する」が3~4割台と差がありましたが、「30歳代以下」は両者が5割台で同程度となっています。「30歳代以下」は自己責任をより認識しているのかもしれません。性別にみて大きな違いはありません。
◆「料理の持ち帰り」に関するガイドラインを知っていた人は、約2割
昨年(2024年)、「食品ロス」を減らすために国が発表した、飲食店などで食べ残した料理を衛生的に持ち帰るためのガイドラインを知っていたか尋ねたところ、「内容まで知っていた」はわずか2.9%に過ぎず、「知っていたが内容はよくわからない」の19.6%を合わせても約2割(22.5%)でした。
年代別、性別にみて大きな違いはありません。
ガイドラインを作ったものの、まだまだ認知されていないことがうかがえます。
◆ 「料理の持ち帰り」をしない理由は、 ‘可否がわからない’ ・ ‘容器’ ・ ‘衛生面’
「料理の持ち帰り」をしたことがない人に、しない理由を尋ねたところ(3つ以内の複数回答)、回答が分散しました。「持ち帰りができるかどうかわからないから」(36.4%)、「容器がないから・こぼれるのが心配だから」(31.8%)、「衛生面が心配だから」(30.0%)が3割台、「荷物になるから」(24.5%)と「そのような習慣がないから」(24.5%)が2割台でした。
一方、「周りの人がしないから」(6.4%)や「持ち帰りたいと言いにくいから・気恥ずかしいから」(14.5%)はさほど多くありません。
これらのことを踏まえると、 ‘持ち帰りが可能か否かの明示’ や ‘容器’ の問題が解消されれば、持ち帰る人が増えるのかもしれません。
年代別にみると、「持ち帰りができるかどうかわからないから」はどの年代も同じくらいですが、「容器がないから・こぼれるのが心配だから」と「衛生面が心配だから」はおおよそ年代が上になるほど高くなっています。
性別にみると、女性は、「持ち帰りができるかどうかわからないから」の回答割合が男性の倍となっています(女性45.8%、男性22.9%)。
◆ 自由意見
「料理の持ち帰り」の良いこと、注意したいことなどを尋ねたところ、食品ロス削減にもつながるので良いことだ、持ち帰るにしても衛生面には注意したい、自己責任で行うべき、などいろいろな意見が寄せられました。
○とにかく勿体無いから、持ち帰れると嬉しいですね。でも、適正量で注文するのが、大切だと思いま す。(佐世保市、60歳代、女性)
○長崎は昔から残ったものは持ち帰るという「かぶり」という風習がありました。コロナで暫くできなかった持ち帰りが復活されて嬉しいですね。(長崎市、50歳代、女性)
○いい事だと思います。お店の方から持ち帰りますか?と聞いてもらえた方が持ち帰りやすいです。(長崎市、50歳代、女性)
○清潔な容器の提供があると嬉しいです。有料でもいいと思います。(長崎市、50歳代、女性)
○容器を持参するなどの価値観が当たり前になれば持ち帰りも当たり前になると思う。今はまだそれがやってはいけないことのイメージが強い。(諌早市、20歳代、女性)
○節約できるのがよい。でも酔っ払いが大声で話している前の食事だと思うと衛生的?と不安になる。(長崎市、50歳代、男性)
○個人的には持ち帰りはあまり好まないので、周りに強制しないで欲しい。(長崎市、50歳代、女性)
○飲食店で働いてた時、持ち帰りはその後の取り扱いによっては食中毒の危険があるから基本的に断ってと言われていました。責任を提供側が問われる昨今、自己責任であることを明確に提示しないと持ち帰る事は難しい。(長与町、40歳代、女性)
○料理の持ち帰りはあくまで客側の都合で、飲食店側に気を使わせるのはどうかと思います。(長崎市、30歳代、男性)
○食中毒の可能性もあるので、あくまでも自己責任であることを認識して店側もお客側も気持ちよく持ち帰りできるようになっていってほしい。(長与町、40歳代、女性)
(2025.6.6 宮崎 繁樹)