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長崎経済研究所

県内企業の設備投資動向調査

― 2022年度の実績と計画(2022年11月調査)―

【調査要領】
1.調査対象:長崎県内主要企業374社
2.調査方法:WEBと郵送を併用してアンケートを実施
3.調査期間:2022年10月27日~11月28日
4.調査事項:2021年度設備投資実績、2022年度の投資実績と計画およびその内容
       (投資金額、前年度比増減理由、投資目的など)
5.回答企業数:製造業35社、非製造業111社、合計146社(回答率39.0%)
 (有効回答企業数は製造業30社、非製造業78社、合計108社、有効回答率28.9%)
 注:有効回答企業とは、2021年度実績と2022年度計画(調査時点までに実施済み分を含む)を比較可能、かつ2022年度の投資方針(「実施する」もしくは「実施しない」)が確定している企業をいう。「未定」企業は対象から除外。
概要
○回答企業146社中、2022年度の投資「未定」先が26.0%。コロナ前より高い水準続く。
○有効回答108社中、投資を計画する企業は76.9%。非製造業の計画割合が前年比低下。
○83社の投資総額は162億円、前年度実績比17.4%減。製造業は増も非製造業が大幅減。
○大企業は大型投資の一巡から大幅減、中小企業は非製造業中心に増加。
○前年比投資額増加企業(50社)の理由は「既存設備の老朽化」中心、次いで「競争力の維持・強化」。前年比減少企業(33社)の理由は「投資の一巡」。
○投資の目的(金額ベース)は維持・更新中心、中小・製造では増産・拡販の積極投資も目立つ。
○コロナ前に比べ未だ投資に慎重な先が多く回復途上ながら、積極姿勢もうかがえる。

設備投資計画社数 ―計画企業割合は伸び悩み―
 回答企業146社のうち、2022年度の投資計画が「未定」の先は26.0%(前年21.6%)とコロナ前(19年、9.8%)を上回る水準が続いている。

 有効回答先108社のうち、設備投資を計画(実施済を含む。以下同じ)する企業は83社、構成比が76.9%であり、前年同時期調査の割合(80.5%)を3.6ポイント下回っている。このうち、製造業では投資計画企業が29社、構成比96.0%(前年85.0%)となったが、非製造業では54社、69.2%と前年(78.9%)を下回った。また、投資計画企業83社のうち、前年度も実施した先は81社と概ね前年並みとなっている(図表1)。

2.設備投資計画額 -前年度実績を下回る水準 - 

 回答企業の投資計画額をみると、83社の投資総額は162億円となり、それら企業の前年度の投資実績総額197億円を17.4%下回っている(図表1)。

 (1)製造業は増加、非製造業は大幅減

 製造業・非製造業に分けてみると、製造業では89億円となり、前年度実績84億円を5.2%上回る。主な業種では、食料品が14億円、50.8%増、電気機械も14億円、39.7%増と大幅に伸びた一方、輸送機械は53億円、5.9%減、一般機械は4億円、15.2%減であった。

 また、非製造業では、計画額74億円、前年度実績112億円を34.4%下回った。主な業種では運輸が28億円、1.2%減、サービスが17億円、69.7%減、小売が10億円、44.4%減となり、その他(水産等)が13億円、2.5倍増であった(図表1)。

 (2)大企業は実績比減、中小企業は増加

 企業規模別にみると、大企業では前年度実績比36.9%減、うち製造業は3.7%増となったが、非製造業ではサービス業での大型投資の一巡から70.7%の大幅減の計画となっている。一方、中小企業では、前年度実績比26.8%の増加、このうち製造業は9.3%増、非製造業は37.0%の大幅増の計画となっている(図表1)。

3.投資額の増減理由<複数回答>

 (1)増加理由 ―「既存設備の老朽化」中心、次いで「競争力の維持・強化」ー

 2022年度投資計画額が前年度実績に比べ増加する企業(50社)にその理由(複数回答)を尋ねると、「既存設備の老朽化」が82.0%で群を抜き、これに「競争力の維持・強化」が48.0%で続く。そのほかでは、「新分野への進出」が16.0%となっている。

 このうち製造業では、「競争力の維持・強化」が75.0%でトップ、「既存設備の老朽化」が62.5%で続くのに対し、非製造業では「既存設備の老朽化」が91.2%に上り、「競争力の維持・強化」は35.3%にとどまっている(図表2)。

 (2)減少理由 -「投資の一巡」が最多-

 一方、2022年度の投資計画額が前年度実績に比べ減少する企業(33社)にその理由(複数回答)を尋ねると、「投資の一巡」が42.4%と最も多く、次いで「需要の低迷又は悪化」が15.2%となっている(図表3)。

4.設備投資の目的 -維持・更新中心、中小・製造では増産・拡販も-

 2022年度設備投資計画の目的を金額ベースの構成比でみると、全産業では「機械設備の維持更新」が53.2%と半数を超えており、これに「省力化・合理化」が16.7%、「増産・拡販」が8.8%で続いている。

 このうち中小企業をみると、非製造業では「機械設備の維持更新」が69.5%を占めるのに対し、製造業では「機械設備の維持更新」45.4%でトップながら、「増産・拡販」も34.7%を占めており、積極的な投資として注目される(図表4)。

 このように、設備投資の意欲面ではコロナ前に比べ未だ慎重な先が多く回復途上も、コロナ禍の下でも大型の投資がみられ、増産・拡販についても中小製造業で目立つなど積極姿勢もうかがえる。

(2022.12.06 中村 政博)

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