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長崎経済研究所

景況感、緩やかに持ち直し ―物価上昇が懸念材料に―
~第 128 回 県内企業景況調査(確報)~


■ 調査対象:県内主要企業375 社(回答企業数241 社、回答率64.3%)
■ 調査方法:WEB と郵送を併用しアンケートを実施
■ 調査期間:2022 年4 月21 日~ 5 月31 日
■ 業種別内訳:製造業62 社、非製造業179 社
※ BSI について:BSI は回答企業の「好転・増加・上昇」とする企業割合から「悪化・減少・下落」とする企業割合を差し引いた指標。

概況
○全産業の業況判断BSI をみると、2022 年1 ~ 3 月期実績は△ 12 となり、前期(△ 16)から持ち直し。足もと4 ~ 6 月期(実績見込み)は、「まん延防止等重点措置」の解除で外出自粛の動きが和らぎ、ペントアップ(繰越)需要が徐々に顕在化しつつあることから、BSI は△ 5 とさらに持ち直し。もっとも先行きについては、コロナ感染再拡大や、円安による輸入物価の上昇や原材料・資材価格の高止まりが長期化することへの懸念などから、7 ~ 9 月期は△ 5 と横ばいとなり、足踏みの見通し。
○経営上の問題点(3 つ以内の複数回答、全産業計)は、「仕入商品又は原材料価格の値上がり」が62.6%とトップ。これに「売上・受注の不振」が49.8%、「人材不足」が42.6%で続く。

1.業況判断
 全産業の業況判断 BSI をみると、2022 年 1 ~3 月期実績は△ 12 となり、前期(△ 16)から持ち直し。足もと 4 ~ 6 月期(実績見込み)は、「まん延防止等重点措置」の解除で外出自粛の動きが和らぎ、ペントアップ(繰越)需要が徐々に顕在化しつつあることから、BSIは△ 5 へとさらに持ち直し。
 もっとも先行きについては、コロナ感染再拡大や、円安による輸入物価の上昇や原材料・資材価格の高止まりが長期化することへの懸念などから、7~ 9 月期は△ 5 と横ばいとなり、足踏みの見通し。


(1)製造業
 製造業の業況判断 BSI は、22 年 1 ~ 3 月期実績は前回見込み(△ 21)を上回る△ 8 となった。
 また、4 ~ 6 月期実績見込みも、前回見通し(△15)を大幅に上回る△ 4 となった。また、7 ~ 9月期先行きについても△ 3 と持ち直す見通し。
 このうち電気機械は、半導体や部品不足などの供給制約の影響を受け BSI は足もと 4 ~ 6 月期は 0 となったが、受注案件や引き合い案件が増加していることなどから、先行き 7 ~ 9 月期は 25 と回復する見通し。
 食料品は、エネルギーや原材料の価格高騰分を販売価格に転嫁する動きがみられるほか、コロナ禍がやや落ち着き修学旅行生が戻り売上が回復傾向にあることなどから、BSI は足もと 4 ~ 6 月期は 5 とプラス圏に回復し、先行き 7 ~ 9 月期は7とさらに回復する見通し。

(2)非製造業
 非製造業の業況判断 BSI は、22 年 1 ~ 3 月期実績が前回見込み(△ 31)を上回る△ 13 となった。4 ~ 6 月期見込みも前回見通し(△ 16)を上回る△ 6 となった。また、先行き 7 ~ 9 月期についても△ 6 となり横ばいの見通し。
 このうち小売業では、まん延防止等重点措置の解除を受け、外出自粛の動きが緩和されたことから来店客数が徐々に戻り、1 ~ 3 月期(△ 44)から持ち直し、4 ~ 6 月期の BSI は△ 20、7 ~ 9 月期も△ 19 の見通し。コロナ禍が長期化していることから、顧客が中心部を避け近隣の店舗で買い物を済ませるなど、購買パターンが変わり、客数の伸びが期待できないなか、売上品数の増加や利益確保に向けた営業努力の動きがみられる。
 サービス業では、1 ~ 3 月期実績△ 6 から足もと 4 ~ 6 月期・先行き 7 ~ 9 月期は、GoTo キャンペーンなど助成事業への期待もあって、ともにプラス 7と改善がみられる。

(3)雇用人員、仕入・販売価格
 全産業の雇用人員の BSI をみると、足もと 4~ 6 月期△ 26、先行きも 7 ~ 9 月期△ 25 と、大幅マイナス(人員不足)となり、なかでも非製造業の不足感が続いている。
 全産業の仕入価格の BSI は、燃油費や資材・原材料費が高騰したことから、足もと 70、先行き67と大幅なプラス(上昇 > 低下)が続く。
 一方、全産業の販売価格の BSI は、足もと28、先行き 30 と仕入価格上昇分を転嫁する動きが見られる。ただし、十分な転嫁はできていないことから、採算 BSI は足もと△ 27、先行き△ 25 と、収益環境は依然厳しい状況が続く見通し。

2.経営上の問題点
 経営上の問題点(3 つ以内の複数回答、全産業計)は、「仕入商品又は原材料価格の値上がり」が 62.6%でトップ。以下、「売上・受注の不振」が49.8%、「人材不足」が 42.6%。
 前回調査を上回ったのは、「仕入商品又は原材料価格の値上がり」と「諸経費(物流費、物件費等)の増大」であった。
 回答企業からは、「仕入価格上昇分を販売価格にすべて転嫁できないことから収益低下が懸念される。」(小売業)、「コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻の影響のほか、円安やインフレ等で先行きが見えない。」(卸売業)、「原油価格の高騰により、原材料をはじめ全ての仕入・輸送コストが高騰している。」(建設業)などのコメントが寄せられた。

■経営上の問題点(3つ以内 複数回答)

(2022.6.27 泉 猛)

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