~第141回 県内企業景況調査~
当研究所では、県内の景気動向を探るため四半期毎に県内企業景況調査を行っています。このほど、2025 年8月に実施した調査結果を以下のとおりまとめました。
ご多用のなかご回答頂きました皆様に厚くお礼申し上げます。
【調査要領】
1.調査目的:県内企業の業況と経営動向の把握および県内景況判断資料の作成
2.調査対象:県内主要企業368社(回答企業数225社、回答率61.1%)
3.調査方法:WEB と郵送を併用
4.調査期間:2025年7月25日~8月29日
5.調査対象期間:2025 年4~6月期 実 績(前年同期比)
2025 年7~9月期 実績見込み(前年同期比)
2025 年10~12月期 見 通 し(前年同期比)
6.調査事項
(1)業況判断 (2)売上高 (3)受注残高 (4)在庫水準
(5)操業度・稼働率 (6)雇用人員 (7)販売価格 (8)仕入価格
(9)採算(経常利益) (10)資金繰り (11)経営上の問題点
7.回答企業属性
概況
〇全産業の業況判断BSIをみると、原材料の高止まりや人手不足、猛暑の影響などから、2025年4~6月期実績および、足もと7~9月期(実績見込み)いずれも△8と横這い。一方、先行き10~12月期は、「ながさきピース文化祭2025」の開催に伴い観光客が増えることへの期待などから△2に持ち直す見通し。
〇経営上の問題点(3つ以内の複数回答、全産業計)は、「仕入商品又は原材料価格の値上がり」が53.4%でトップ。これに「人材不足」(50.2%)と「賃金の上昇」(35.9%)が続くも、それぞれ前回調査(2025年5月)比減少している。
1.業況判断
全産業の業況判断BSIをみると、原材料の高止まりや人手不足、猛暑の影響などから、2025年4~6月期実績および、足もと7~9月期(実績見込み)いずれも△8と横這い。一方、先行き10~12月期は、「ながさきピース文化祭2025」の開催に伴い観光客が増えることへの期待などから△2に持ち直す見通し。
(1)製造業
製造業の業況判断BSIは、4~6月期実績プラス9から、原材料やエネルギー価格の上昇に猛暑の影響、最低賃金の上昇懸念も加わり、足もと7~9月期は△9となる見込み。一方、先行き10~12月期は、受注環境の好転期待からプラス4と回復する見通し。
このうち一般機械は、4~6期の△11から、原材料や資材価格の上昇懸念に加え、深刻な人材不足もあり、足もと7~9月期は△33と大幅に悪化する見込みとなるも、先行き10~12月期は、受注増などから0と持ち直す見通し。食料品の景況感は、4~6月期のプラス23から、原材料やエネルギー価格の上昇、最低賃金の上昇などから、足もと7~9月期は0と大幅に低下する見込み。しかしながら、コスト上昇分の販売価格転嫁などにより、先行き10~12月期はプラス15と回復する見通し。
(2)非製造業
非製造業の業況判断BSIは、4~6月期実績△7から足もと7~9月期は △9と低下する見込み。また、先行き10~12月期は△4と持ち直す見通しも、厳しい収益環境が続く。
このうち、運輸業は4~6月期実績0から、人手不足や人件費、燃料費等諸経費の増大懸念により足もと7~9月期見込みと、先行き10~12月期見通しはともに△3と悪化。小売業も、4~6月期のプラス11から足もと7~9月期が0、先行き10~12月期は△3の見通しと、エネルギー価格高騰や最低賃金の上昇などから低下傾向。
2.雇用人員、仕入・販売価格、採算
全産業の雇用人員のBSIをみると、足もと7~9月期の見込み、先行き10~12月期の見通しともに△42と、大幅マイナス(人員不足)が続く。
全産業の仕入価格のBSIは、資材・原材料費の高騰から、4~6月期実績プラス46、足もと7~9月期プラス45、先行き10~12月期プラス46と高止まり。一方、全産業の販売価格のBSIは、高止まりが続く仕入価格の価格転嫁の遅れから、4~6月期実績プラス26から、足もと7~9月期はプラス23と低下する見込みも、先行き10~12月期はプラス26と再び持ち直す見通し。全産業の採算BSIは、足もと(7~9月期△18)と先行き(10~12月期△14)にかけて持ち直す見通し。これを業種別に見ても、製造業(足もと△16、先行き△9)と非製造業(足もと△20、先行き△15)ともにマイナス幅が縮小しており、収益環境は幾分持ち直す見通し。
3.経営上の問題点
経営上の問題点(3つ以内の複数回答、全産業計)は、「仕入商品又は原材料価格の値上がり」が53.4%でトップ。これに「人材不足」(50.2%)と「賃金の上昇」(35.9%)が続くも、いずれも前回調査を下回っている。
回答企業からは、「原材料、仕入単価上昇分は、徐々に販売価格へ転嫁できているが、人手不足による生産キャパが低い状態が続いている」(電気機械)、「燃料価格は若干の下落傾向も見えるが、安い価格とはいえない水準。賃金も上昇している。」(運輸業)、「人材確保の観点から賃上げは実施しているが、先行きが不透明の中での賃上げ実施は課題である」(サービス業)などのコメントが寄せられた。
(2025.9.26永山 真)