~第140回 県内企業景況調査~
当研究所では、県内の景気動向を探るため四半期毎に県内企業景況調査を行っています。このほど、2025 年5月に実施した調査結果を以下のとおりまとめました。
ご多用のなかご回答頂きました皆様に厚くお礼申し上げます。
【調査要領】
1.調査目的:県内企業の業況と経営動向の把握および県内景況判断資料の作成
2.調査対象:県内主要企業368社(回答企業数223社、回答率60.6%)
3.調査方法:WEB と郵送を併用
4.調査期間:2025年4月25日~5月30日
5.調査対象期間:2025 年1~3月期 実 績(前年同期比)
2025 年4~6月期 実績見込み(前年同期比)
2025 年7~9月期 見 通 し(前年同期比)
6.調査事項
(1)業況判断 (2)売上高 (3)受注残高 (4)在庫水準
(5)操業度・稼働率 (6)雇用人員 (7)販売価格 (8)仕入価格
(9)採算(経常利益) (10)資金繰り (11)経営上の問題点
7.回答企業属性
概況
〇全産業の業況判断BSIをみると、原材料の高止まりや人手不足に加え、トランプ関税による不確実性の高まりによる先行き懸念から、2025年1~3月期実績のプラス3から足もと4~6月期(実績見込み)は△8と悪化した。また、先行き7~9月期も△8の見通しと県内企業の景況感は足踏みが続く見通し。
〇経営上の問題点(3つ以内の複数回答、全産業計)は、「仕入商品又は原材料価格の値上がり」が57.0%でトップ。これに「人材不足」(52.0%)と「賃金の上昇」(37.1%)が続く。
1.業況判断
全産業の業況判断BSIをみると、原材料の高止まりや人手不足に加え、トランプ関税による不確実性の高まりによる先行き懸念から、2025年1~3月期実績のプラス3から足もと4~6月期(実績見込み)は△8と悪化した。また、先行き7~9月期も△8の見通しと県内企業の景況感は足踏みが続く見通し。
(1)製造業
製造業の業況判断BSIは、25年1~3月期のプラス2から、原材料、資材、エネルギー価格の上昇に加え、米国の通商政策の不透明感が強まり、足もと4~6月期は△2と低下する見込み。また、7~9月期は△6とさらに悪化する見通し。原材料やエネルギー価格の上昇分を十分に価格転嫁できないことから厳しい収益環境が続く。
このうち一般機械は、25年1~3期の0から、原材料や資材価格の上昇懸念に加え、深刻な人材不足もあり、足もと4~6月期△20と大幅に悪化し、先行き7~9月期も△20と横ばい推移の見通し。食料品の景況感は、インバウンド需要の回復などから、足もと4~6月期はプラス17と大幅に上昇する見込みとなり、先行き7~9月期も同じくプラス17と堅調に推移する見通し。
(2)非製造業
非製造業の業況判断BSIは、25年1~3月期実績プラス3から足もと4~6月期は △10と大幅に低下する見込み。また、先行き7~9月期は△9とわずかに上昇見通しも、厳しい収益環境が続く。
このうち、運輸業は25年1~3月期実績プラス6から、足もと4~6月期は△10と大きく悪化見込みとなり、先行き7~9月期も△7の見通しと、人材不足や人件費、燃料費等諸経費の増大懸念によりマイナスが続く。サービス業も、25年1~3月期実績のプラス16から足もと4~6月期が0、先行き7~9月期は△6となり、人材不足や最低賃金の上昇などから低下傾向。
2.雇用人員、仕入・販売価格、採算
全産業の雇用人員のBSIをみると、足もと25年4~6月期の見込みが△46、先行き7~9月期の見通しも△47と、大幅マイナス(人員不足)が続く。
全産業の仕入価格のBSIは、資材・原材料費の高騰から、25年1~3月期実績59、足もと4~6月期49、先行き4~6月期51と高止まりが続くも前回見通しを下回っている。一方、全産業の販売価格のBSIは、上昇が続く仕入価格の販売価格への転嫁する動きの遅れから、25年1~3月期実績32から、足もと4~6月期はプラス27と低下、先行き7~9月期もプラス27と横ばい見通し。全産業の採算BSIは、足もと(25年4~6月期)、先行き(7~9月期)とも△15となり、依然厳しい収益環境が続く。これを業種別に見ても、製造業の採算BSI(足もと△8、先行き△6)と非製造業の採算BSI(足もと△17、先行き△18)ともに厳しい収益環境が続いている
3.経営上の問題点
経営上の問題点(3つ以内の複数回答、全産業計)は、「仕入商品又は原材料価格の値上がり」が57.0%でトップ。以下、「人材不足」(52.0%)と「賃金の上昇」(37.1%)。うち、「賃金の上昇」は前回調査比3.0ポイント増加している。
回答企業からは、「仕入価格の上昇は変わらず、コスト上昇分の製品への反映が追い付いていない」(電気機械)、「燃料価格については、今後下がる可能性も出てきたがまだまだ高値で取引されており、人件費や修繕費の高騰と共に経営を圧迫している」(運輸業)、「人材不足が長期化している状況で、応募があっても年齢層が高齢で、求める人材にマッチしない状況が続いている」(サービス業)などのコメントが寄せられた。
(2025.6.17永山 真)