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長崎経済研究所

長崎都市経営戦略推進会議主催『第1回 医療・福祉機器等ものづくり検討会』を取材しました

 2023年2月7日、ダイアゴナルラン長崎(長崎市油屋町)において、長崎都市経営戦略推進会議主催の『第1回 医療・福祉機器等ものづくり検討会』が開催され、産学官の20企業・団体、30名が参加しました。

■医療・福祉機器等ものづくり検討会とは

 本検討会は、2022年8月に開催された『第24回 長崎サミット』において、「ライフサイエンス分野」が次世代の成長産業の有力な候補と位置づけられたことを踏まえ発足したものです。
 本検討会を通じ、県内の各関係者(※)間のネットワークを構築し、交流の活性化を図るとともに、取引拡大や技術基盤強化に向けた具体的な取り組みを実施していくことなどを目的としています。
(※)県内の各関係者
 ・医療・福祉機器や資機材等の製造に関わっている企業
 ・医療・福祉機器分野に関心を持つ製造企業
 ・関連する大学や商社
 ・行政関係者

■今回の検討会の流れ

 開会にあたり、長崎都市経営戦略推進会議の小川議長より「本検討会は、製造企業や大学に加え、商社の皆様にもご参加いただき、ユーザー側の意見をどのようにマネタイズしていくかなど、幅広く議論できるようにしている。小さな成功体験を積み上げていきたいと考えている。まずは本検討会を通じて、参加者間のネットワークを構築してほしい。意見交換により、皆様の期待に添えるような活動にしていきたい。」との趣旨説明がありました。

 次に、長崎大学の永安理事より「長崎大学におけるライフサイエンス関連の取組みと医療機器開発事例の紹介」と題した講演がありました。内容は、長崎県における医学史、長崎大学における医学分野の研究や取り組み、医療機器の分類や医療機器基本計画における重点5分野の概要、離島・僻地医療(遠隔医療、ドローン等)、医療情報におけるデータサイエンスの研究、産学連携推進に向けた取り組みである地域共同研究支援事業の立ち上げ、など。
 最後に「今後、長崎大学が持つ様々なシーズ、あるいは医療ニーズを産学連携に繋げていけるよう、我々からも情報を発信していきたい。また、参加企業・団体の皆様からも色々なお問い合わせもいただきたい。」との話がありました。

 続いて、医療・福祉機器産業の先進事例として、ふくしま医療機器開発支援センター(福島県郡山市)の小林利彰センター長より、同センターの取り組みについて説明がありました。

 内容は、同センターの設立経緯や目的及び施設概要、同センターによる「コンサルティング」「安全性試験」「マッチング」「人財育成・トレーニング」という医療機器開発において欠かせない4つの機能に主軸をおいた支援、福島県における医療機器産業振興の取り組みと今後の方向性、など。

 また、「医療機器は、大きく①診断②治療③その他に分けられる。非常に幅が広く、30~40万種類ある。どこに着目し、何をするかで深さや広さ、開発にかかる期間が異なってくる。」「福祉・介護分野については、メーカーが参入してビジネス化することが難しいと言われるが、医療と比べ規制がないところが多い。福祉・介護にも様々な分野があり、得意な分野についてチームで検討いただき、どの分野がいいのかを見つけてもらえれば。」との話がありました。
 説明後、参加者から「開発中の医療機器の安全性評価についてご相談したい。」との声が挙がっていました。

■今後の取り組み、進め方について

 さいごに、長崎都市経営戦略推進会議より今後の取り組み・進め方について説明があり、参加者による意見交換が行われました。
 
 今後取り組む事業については、以下の4点が提示されました。
①情報収集の機会創出
②交流の機会創出
③仕事(事業)の機会創出
④研究/開発/試作/実証、技術基盤強化の機会創出
 
 参加者からは「まずは(同分野について)理解を深めることが大事だ。どういうところにマーケティングしていくかなどについて研究していきたい。」「(検討会の進め方について)とにかく一歩踏み出してみて、少しずつ方向性をブラッシュアップしていく形になるのでは。情報収集の中に、他地域の取り組み事例・視察も含めてほしい。」といった意見があったほか、参加企業の1社からは、自社の取り組み内容の共有もありました。
 
 また、今後の検討会運営については、以下の5点が提示されました。
①事務局は、当初において長崎都市経営戦略推進会議が担う。
②会員の意向に沿った事業を実施し、機会の創出・提供を行う。
③県内外のステークホルダーに開かれた組織として、オープンイノベーションの手法により、企業や大学、関係団体、他地域との連携を推進するとともに、賛同する県内外の企業・団体等による会員拡充を図る。
④開催頻度は、2か月に1回程度を目安に実施する。
⑤次回開催は4月頃とし、本日出された意見と事後アンケートを踏まえて今後の取り組む方向と内容を決める。

■長崎県における「ライフサイエンス分野」の成長産業化に期待

 参加した企業・団体が熱心に各講演・説明に耳を傾け、意見交換を行っていた姿が印象的でした。今後、今回参加された企業・団体からの意見が第2回以降に反映され、より充実した検討会になっていくものと思われます。
 本検討会を通じて、「ライフサイエンス分野」が長崎県の成長産業となっていくことに期待したいと思います。

(2023.2.22 原田 義光)

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