コロナ禍を契機に、感染症対策だけでなく、自分の“健康”に配慮する方が増えてきているのではないでしょうか。
健康管理については、これまでは個人の責任として捉えられがちでしたが、企業が従業員と一緒になって健康の維持増進に取り組む『健康経営』への関心が高まっています。
企業がこの『健康経営』に取り組むことによって、従業員の働き甲斐を創出し、モチベーションを向上させることなどが期待できます。また、従業員を大切にする企業であることをアピールできることから、人材確保の面でもプラスとなります。
この「健康経営」には経済産業省が2014年度から取り組んでおり、2016年度にはさらに「優良法人認定制度」を創設しました。その認定数は年々増加しており、今年度は全国で14,539社にのぼります。
一方、長崎県内においては、長崎県と全国健康保険協会長崎支部が2016年度から「健康経営宣言事業」に取り組んでいるところであり、今年11月1日現在(累計)で、861の事業所が健康経営宣言をしています。
県と全国健康保険協会長崎支部との共同による健康経営宣言事業は、全部で5段階のステップを経ることによって進められます。
ステップ1.健康経営宣言事業に参加申込みをする。 ステップ2.健康経営宣言書を掲示するなどして、従業員に周知する。 ステップ3.健康経営宣言事業の5つの項目に取り組む。 ステップ4.翌年度、取組み評価シートを報告する。 ステップ5.取組み内容が優秀な事業所に認定証が交付される。 |
ステップ3の5つの項目は以下の通りとなっています。
<5つの項目>
1.生活習慣病予防健診受診向上への取組み(受診率80%以上を目指す) 2.健診結果による治療の徹底と保健指導の活用への取組み(メタボ特定保健指導利用率50%以上を目指す) 3.事業所全体での継続的な健康増進や改善に向けた取組み(運動の取り組み必須) 4.禁煙・受動喫煙対策に向けた取組み 5.メンタルヘルスへの取組み |
健康経営宣言事業に取り組んでいる事業所で、取組み内容が優秀な事業所には認定証が交付されますが、その認定事業所数は年々増加しており、2022年度には累計256事業となっています。
ちなみに、認定事業所は、長崎県のホームページで紹介されるほか、建設工事入札参加者格付で加点されるというメリットもあります。
今後、健康経営に取り組む事業所がさらに増加し、従業員一人ひとりが健康になるとともに、企業価値向上にもつながることが期待されます。
(2022.11.30 井上 翼)