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長崎経済研究所

放課後児童クラブ(学童保育)と「小1の壁」

(2022年3月17日)

放課後児童クラブ(学童保育)とは

 放課後児童クラブ(通称学童保育)とは、保護者が昼間家庭にいない小学生を対象に、放課後や夏休みなど長期休みの間、大人の見守りのもとで安心・安全に過ごすことができる環境を提供するところです。主に学校の空き教室や児童館、民家などが使用されており、児童はそこで自由に遊んだり宿題などをして過ごします。

 厚生労働省のまとめによると、全国の放課後児童クラブ数や登録児童数は年々増加傾向にあります。2021年には放課後児童クラブ数は26,925か所(前年比+300か所)、登録児童数も1,348,275人(前年比+37,267人)とどちらも過去最高を更新しました。
  一方、放課後児童クラブを利用できなかった児童数(待機児童数)は13,416人(前年比△2,579人)でした。


(資料)厚生労働省 令和3年(2021年) 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(令和3年(2021年)5月1日現在)

 長崎県の状況についてみると、放課後児童クラブ数や利用児童数は年々増加傾向にあります。2021年度には、放課後児童クラブの数が410か所(前年比+6か所)、利用児童数は18,767人(前年比+410人)となりました。待機児童数は13人(前年比△29人)でした。

資料:長崎県こども政策局こども未来課
資料:長崎県こども政策局こども未来課

「小1の壁」

 放課後児童クラブの拡充が進むなか、働く親にとって頭を悩ませる問題があります。「小1の壁」と呼ばれるものです。
 「小1の壁」とは、子どもが小学校に進学すると、仕事と子育ての両立がますます困難になることを指します。
 例えば、親の学校行事への参加があります。子どもが小学校に上がると、保護者会や個人面談、PTAの役員、運動会やその他行事への参加があり、仕事を休まなければならないこともあります。子どもを学童保育に預ける場合には、そこでも定期的に保護者会が行われるため(施設による)、仕事との時間調整がさらに負担となります。
 日々の生活では、仕事が終わり帰宅後、ゆっくりする間もなく夕飯の準備をしながら、子どもの勉強を見たり、宿題のフォローをするなど親が見てあげる必要があり、時間のやりくりが大変です。

 最後に、小学校に上がれば子育ては楽になるということはなく、よりいっそうの子育て支援が不可欠です。育児を理由とした離職を防ぎ、男女ともに仕事と育児を両立できる社会を目指すために、企業には子育ては家庭の問題と切り離すのではなく、従業員のライフステージにあったサポートや柔軟な働き方を推進していくことが求められます。

 長崎で育ち巣立った子どもたちが、いずれ自分たちも長崎で子育てをしたいと思ってくれるような子育て環境・支援が展開されることを期待したいと思います。

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