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長崎経済研究所

県内企業の設備投資動向調査‒ 2025 年度期初計画(2025 年5 月調査)‒

【調査要領】
1.調査対象:長崎県内主要企業368社
2.調査方法:WEBと郵送を併用してアンケートを実施
3.調査期間:2025年 4月25日~ 5月30日
4.調査事項:2024年度設備投資実績、2025年度の投資計画およびその内容(投資金額、前年度比増減理由、投資目的など)
5.回答企業数:製造業30社、非製造業109社、合計139社(回答率37.8%)
  (有効回答企業数は製造業22社、非製造業79社、合計101社、有効回答率27.4%)
注:有効回答企業とは、2024年度実績と2025年度計画(調査時点までに実施済み分を含む)を比較することが可能で、かつ2025年度の 投資方針(「実施する」もしくは 「実施しない」)が確定している企業をいう。「未定」企業は対象から除外。
概要
○有効回答101社中、投資を計画する企業は70社、69.3%。前年同時期調査(78.9%) を9.6 ポイント下回った。回答企業139 社中、25 年度の投資「未定」先も38 社、27.3% と前年同時期調査(33.6%)より低く、 慎重姿勢が残る。
○投資実施計画企業70 社の投資総額は322 億円、前年度実績比10.5% 増。製造業が25.9% 増となり、非製造業は微増にとどまる。また、企業規模別では、大企業が増加するも、中小企業は減少。
○前年比投資額増加企業(35 社)の理由は「既存設備の老朽化」が22 社(62.9%)と中心ながら、「競争力の維持・強化」も15 社に上る。前年比投資額減少企業(32 社)の理由は「投資の一巡」が中心。
○ 投資の目的(金額ベース)は維持・更新中心ながら、大企業の非製造業では増産・拡販の積極投資 が目立つ。

1.設備投資計画企業 -計画企業割合は前年同時期調査を下回る-

 有効回答先101 社のうち、設備投資を計画(実施済を含む。以下同じ)する企業は70 社、構成比69.3%となっており、前年同時期調査(78.9%)を9.6% ポイント下回った。このうち製造業では投資計画企業が18 社、構成比81.8%(前年調査95.5%)、非製造業では投資計画企業が52 社、構成比65.8%(前年74.0%)と、いずれも前年同時期調査時を下回っている。また、今年度投資を計画している企業と、前年度も投資を実施した企業はともに70 社(図表1)。
 回答のあった企業139 社のうち、今年度の設備投資計画額を「未定」とした企業は38 社・27.3% と、こちらも前年(33.6%)を下回り、引き続き慎重な姿勢がうかがえる(図表1)。

2.設備投資計画額 -前年度実績を10.5%上回る -  

 回答企業の投資計画額をみると、70 社の投資総額は322 億円となり、それら企業の前年度の投資実績総額291 億円を10.5%上回っている(図表1)。

(1)製造業が増加、非製造業は微増

 製造業・非製造業別にみると、製造業では、前年度実績(111 億円)を25.9% 上回る139 億円。主な業種では、輸送機械が 38.9% 増の108 億円、食料品も 62.5% 増の13 億円となった。また、一般機械は24.3% 減の10 億円であった。
 非製造業の計画額は、前年度実績(181 億円)比微増となる1.0% 増の183 億円となっている。主な業種では、建設が約3.3 倍となる51 億円と大幅増。同様に、小売も16.7%増の35 億円となった一方、卸売が74.3%の大幅減となる5 億円、運輸も33.1%減の18 億円となった(図表1)。

(2)大企業が増加、中小企業は微減

 企業規模別にみると、大企業では前年度実績比で21.1%増加した。このうち、製造業が32.3% 増となっている。一方、中小企業は前年度実績比3.4%減となっており、製造業は7.5%減であった(図表1)。

3.投資額の増減理由<複数回答>

(1)増加理由 「既存設備の老朽化」が中心。次いで「競争力の維持・強化」

 2025 年度投資計画額が、前年度実績に比べて増加する企業(35 社)にその理由を複数回答で尋ねると、
「既存設備の老朽化」が62.9%、これに「競争力の維持・強化」が42.9%で続いた(図表2)。このうち、製造業は「既存設備の老朽化」と「競争力の維持強化」がともに63.6%と、比較的積極的な投資姿勢が見受けられるものの、非製造業では、「既存設備の老朽化」の62.5% に対して、「競争力の維持強化」は33.3% と少ないことから、やや慎重であることがうかがえる。

(2)減少理由 -「投資の一巡」が最も多い-

 一方、2025 年度の投資計画額が、前年度実績に比べて減少する企業(32 社)にその理由を複数回答で尋ねると、「投資の一巡」が43.8%と最も多い(図表3)。製造・非製造業別でも、「投資の一巡」が最も多いが、これに続く「収益不振による内部資金の逼迫」が、非製造業では2 割となっている。

4.設備投資の目的 -維持・更新中心も、大企業の非製造業では「増産・拡販」がトップ-

 2025 年度設備投資計画の目的を金額構成比でみると、全産業では「機械設備の維持更新」が37.2%と最も多く、以下「増産・拡販」(22.6%)と「新規事業・新製品開発」(10.8%)が続く。
 このうち、非製造業は「機械設備の維持更新」が3 割超(31.9%)と最も高いが、「増産・拡販」(29.6%)と「新規事業・新製品開発」(12.4%)の割合は、ともに製造業を上回っている。同じように、大企業の非製造業も「増産・拡販」が51.4%と、「設備機械の維持更新」(15.8%)を大きく上回り、先を見据えた投資ぶりが目立つ(図表4)。

2025. 6.20 杉本 士郎

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