■ 調査対象 :県内主要企業368社
■ 調査方法 :WEBと郵送を併用しアンケートを実施
■ 調査期間 :2025年4月25日~5月30日
■ 調査事項 :2025年春の採用実績(人数、初任給)、2026年春の採用計画
■ 回答企業数:製造業36社、非製造業123社、合計159社(回答率43.2%)
このうち「定期的な新卒者の採用は行っていない」とする46社を除いた有効回答企業数は製造業31社、非製造業82社、合計113社(回答率30.7%)
※端数処理の関係で内訳の計は必ずしも100%にならない
1.今春の新卒者採用状況 ―採用者数は前年を上回る―
(1)採用実施企業の割合 ― 採用実施が44.7%―
調査回答企業159社のうち、今春新卒者を採用したのは71社で、全体の44.7%と前年同期調査(同174社のうち82社、47.1%)を2.4ポイント下回った。
内訳をみると、「前年より増やした」は26社で16.4%、「前年並みに採用」は29社で18.2%、合わせて55社、34.6%が ‘前年並み以上’ に採用した。これは前年同期調査(35.6%)より1.0ポイント低下したもののほぼ同水準といえる。
一方、「前年より減らした(応募が少なかった)」と「今年は応募が無く、採用できなかった」を合わせた ‘計画通りに採用できなかった’ 企業は41社、25.7%で前年同期調査(28.1%)よりも2.4ポイント低下した(図表1)。
図表1 2025年春新卒者採用状況(前年同期調査との比較)
(2)採用者数 ―前年比28.1%増―
今春新卒者を採用した企業71社の採用者数は387人で前年実績(302人)を85人、28.1%上回った。これは、一部企業で大幅な採用増があったためであるが、それを除いても増加している。
学歴別内訳は、大学院卒44人、構成比11.4%、大卒114人、同29.5%、短大・高専卒28人、同7.2%、高校卒201人、同51.9%となっている。
業種別にみると、製造業全体では202人、前年実績比61.6%の大幅増となった。輸送機械、電気機械が大幅増、一般機械、食料品は減少した。一方、非製造業では185人、同4.5%増となった。運輸、建設、サービスが増加、卸売、小売は減少した。
学歴別にみると、いずれも増加している。
企業規模別にみると、大企業はいずれの学歴も増加し全体でも大幅増加。中小企業は大学院卒、大学卒が減少したものの高校卒が増加し全体でも増加した。(図表2)。
図表2 規模別・業種別にみた採用人数
図表3 大企業と中小企業の区分
(3)初任給 ―大卒は1万円台、高校卒は5千円台の上昇―
初任給額(前年と今年を比較可能な回答の単純平均)をみると、大卒が228,137円で前年実績比11,249円増(5.2%増)、高校卒が182,522円で同5,496円増(3.1%増)といずれも前年を上回った(図表4)。
※大学院卒と短大・高専卒は、前年と今年を比較可能な回答が僅少であるためコメントを割愛。
図表4 規模別・業種別にみた学歴別初任給
2.来春の採用計画 ―9割近くが ‘今年並み以上’ を計画―
有効回答企業113社のうち2026年春の採用計画について回答があった104社の計画をみると、「採用する」とした企業は87.5%で、前年同期調査(90.8%)比3.3ポイント低下したが、依然として高水準を保っている(図表5)。
図表5 2026年春の採用計画(前年同期調査との比較)
採用方針の内訳をみると、「今年より増やす」(37.5%)と「今年並み」(47.1%)を合わせた ‘今年並み以上’ を計画している企業の割合は84.6%。前年同期調査(87.4%)を2.8ポイント下回ってはいるものの、8割台の高水準にある。一方、「今年より減らす」(2.9%)と「今年は採用したが来年はしない」(2.9%)という採用数を ‘減らす’ 企業の割合は5.8%にとどまった。これらのことから、採用意欲は引き続き高いものとみられる。
これを業種別にみると、 ‘今年並み以上’ は、製造業100%、非製造業78.3%、企業規模別にみても、大企業100%、中小企業82.6%と、いずれも高水準にある(図表5、6)。
図表6 2026年春の採用予定(新卒採用を行っていない企業を除く)
このように、2025年春の新卒採用にあたっては、 ‘前年並み以上’ 採用した企業の割合は前年調査と同水準であり、採用数および初任給は増加した。全国的に深刻な人手不足が続くなか、長崎県内企業においても欲しい人材を確保したいという積極的な姿勢が表れている。
一方で、 ‘計画通りに採用できなかった’ 企業も4分の1程度あり、人材不足の状況は続いている。同時に実施した「第140回 県内企業景況調査」においても、雇用人員の不足感は強く経営上の重要な課題とされている。
そのような経営環境や雇用情勢を反映して、2026年度においても ‘今年並み以上’ の採用を計画している企業が9割近くにのぼっており、採用意欲は高い水準が続くものと考えられる。
(2025.6.9 宮崎 繁樹)