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長崎経済研究所

第136 回 県内企業景況調査

 

 当研究所では、県内の景気動向を探るため四半期毎に県内企業景況調査を行っています。このほど、2024 年5 月に実施した調査結果を以下のとおりまとめました。
 ご多用のなかご回答頂きました皆様に厚くお礼申し上げます。

【調査要領】

1.調査目的:県内企業の業況と経営動向の把握および県内景況判断資料の作成
2.調査対象:県内主要企業372社(回答企業数224社、回答率60.2%)
3.調査方法:WEB と郵送を併用しアンケートを実施
4.調査期間:2024年4月26日~5月31日
5.調査対象期間:2024 年1~3月期 実   績(前年同期比)
         2024 年4~6月期 実績見込み(前年同期比)
         2024 年7~9月期 見 通 し(前年同期比)
6.調査事項
 (1)業況判断     (2)売上高   (3)受注残高    (4)在庫水準
 (5)操業度・稼働率  (6)雇用人員  (7)販売価格    (8)仕入価格
 (9)採算(経常利益) (10)資金繰り  (11)経営上の問題点
7.回答企業属性

概況

全産業の業況判断BSIをみると、円安による原材料の値上がりや人手不足が続くなか、2024年1~3月期実績のプラス2から足もと4~6月期(実績見込み)は△2に低下するも、先行き7~9月期は△1と持ち直す見通し。県内企業の景況感は、原材料など仕入価格の上昇や原油高、人件費上昇などから足もとやや悪化しているものの、先行きについては受注環境の改善を見込む製造業を中心に持ち直す見通し。

経営上の問題点(3つ以内の複数回答、全産業計)は、「仕入商品又は原材料価格の値上がり」(55.3%)と「人材不足」(53.4%)がともに前回調査と同順位で他を大きく引き離して推移しており、主要な問題点となっている。以下、「賃金の上昇」「設備の老朽化」が30.6%で同水準となった。

1.業況判断 

 全産業の業況判断BSIをみると、円安による原材料の値上がりや人手不足が続くなか、2024年1~3月期実績のプラス2から足もと4~6月期(実績見込み)は△2に低下するも、先行き7~9月期は△1と持ち直す見通し。県内企業の景況感は、原材料など仕入価格の上昇や原油高、人件費上昇などから足もとやや悪化しているものの、先行きについては受注環境の改善を見込む製造業を中心に持ち直す見通し。

1)製造業

 製造業の業況判断BSIは、24年1~3月期のプラス4から、原材料・エネルギー価格の上昇の一服感により足もと4~6月期はプラス9となった。また、先行き7~9月期は、受注環境の好転期待などからプラス16とさらに上昇する見通し。

 このうち輸送機械は、人手不足感が強いなか、材料費の価格高騰に一服感が見られるなど、受注環境への好転期待もあり、BSIは1~3月期△17、4~6月期0、7~9月期プラス17と回復傾向。また、一般機械も材料費や労務費など原価差額の悪化はあったものの、円安の影響などから1~3月期の0から、足もと4~6月期はプラス27と大きく上昇し、先行き7~9月期も横ばいとなる見通し。食料品は、円安による原材料の値上がりが続くなか、インバウンド需要の増加などによる観光部門の好調もあり、1~3月期実績プラス31、足もと4~6月期プラス30、先行き7~9月期プラス36と堅調に推移する見通し。

2)非製造業

 非製造業の業況判断BSIは、24年1~3月期実績はプラス2となったものの、足もと(4~6月期)、先行き(7~9月期)ともに△6と低下する見通し。

 このうち卸売業は、人手不足が続くなか、原材料費などの価格高騰から、1~3月期△4、4~6月期△13、7~9月期は△20と悪化傾向。

 小売業では、人件費の上昇分を販売価格に転嫁し難い状況が続いていることから、1~3月期実績△8から足もと4~6月期は△19と低下見込みも、先行き7~9月期は△15とやや持ち直す見通し。

2.雇用人員、仕入・販売価格、採算

 全産業の雇用人員のBSIをみると、足もと24年4~6月期△45、先行き7~9月期も△47と、大幅マイナス(人員不足)が続く見通し。

 全産業の仕入価格のBSIは、資材・原材料費の高止まりが続き、4~6月期60、先行き7~9月期55と大幅なプラス(上昇>低下)が続く。

 一方、全産業の販売価格のBSIは、実績~先行き全てでプラスとなるも、仕入価格の高止まりは続いており、その上昇分の販売価格への転嫁が十分進んでいないことから、採算BSIは1~3月期の実績△3から、足もと4~6月期は△15と大きく悪化する見込み。もっとも、先行き7~9月期は△8と持ち直す見通しながら、収益環境は非製造業を中心に厳しい状況が続いている。

3.経営上の問題点

経営上の問題点(3つ以内の複数回答、全産業計)は、「仕入商品又は原材料価格の値上がり」が55.3%、「人材不足」が53.4%とほぼ同率で前回調査と同順位で推移しており、主要な問題点となっている。以下、「賃金の上昇」「設備の老朽化」が30.6%で同水準となった。

 回答企業からは、「世界的な原材料費、輸送物流費、エネルギー価格の高騰が問題となっており、今後もさらなる素材価格の上昇や高止まりが継続するものと想定される。」(電気機械)、「慢性的な人員不足に加え、定年を経過した熟練工の退職等もあり、人材の確保・育成が課題となっている。」(その他製造業)、「販売価格が不変の中で2024年問題がスタートし、人件費の上昇や燃料代の高騰、ドライバーの不足が懸念材料。」(運輸業)などのコメントが寄せられた。

■経営上の問題点(3つ以内 複数回答)

(2024.7.2 井上 翼)

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