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長崎経済研究所

長崎内外倶楽部、64年ぶりに再興

― 歴史を未来につなぐ「交流の場」への期待 ―

設立総会であいさつする森会長(筆者撮影)

 明治時代に国際都市・長崎を象徴する交流の場として誕生した「長崎内外倶楽部」が、2026年8月1日、64年ぶりに再興されました。人口減少や少子高齢化が進み、地域経済を取り巻く環境が大きく変化するなか、長崎が持つ「外とつながる力」を改めて地域の活力へ生かそうとする取り組みとして注目されます。歴史ある交流の場の復活は、単なる文化の継承ではなく、新たな価値を生み出す挑戦として期待されています。

 長崎内外倶楽部は、1899(明治32)年、居留地制度の撤廃を契機に、倉場富三郎氏をはじめとする長崎財界の有志によって設立されました。日本人と外国人が自由に集い、交流を深める国際的な社交の場として発足しました。最盛期には200人を超える会員が集い、経済人だけでなく外交関係者らも含めた交流を通じて、国際都市・長崎を象徴する存在となりました。しかし、戦後の社会経済情勢の変化などにより活動は縮小し、1962(昭和37)年にその歴史に幕を下ろしました。

 再興の舞台となる旧長崎内外クラブの建物は、現在も出島に残る明治期の洋風建築です(国指定史跡:出島和商館跡)。各室にマントルピース[1]を備え、南側にはベランダを配した英国風の建築様式は、当時の面影を今に伝えています。江戸時代の出島は、西洋との貿易や文化交流、外交の拠点として機能し、異なる文化や価値観を受け入れながら新たな知識や技術を取り入れてきました。その歴史を見つめると、長崎の発展は常に「交流」とともにあったことが分かります。


[1] 暖炉の焚たき口の周辺部分。また、暖炉の上部の飾り棚。(小学館『デジタル大辞泉』「マントルピース」コトバンク https://kotobank.jp/word/%E3%81%BE%E3%82%93%E3%81%A8%E3%82%8B%E3%81%B4%E3%83%BC%E3%81%99-3171886

出島和蘭商館跡を紹介する立て看板(筆者撮影)
出島概観。中央左側の洋館が旧長崎内外クラブ(筆者撮影)
旧長崎内外クラブ(筆者撮影)

 今回の再興が注目される理由は、歴史的な建物や伝統を受け継ぐことだけではないことにあります。長崎県では全国を上回るペースで人口減少と少子高齢化が進み、地域経済を支える人材や市場の縮小が大きな課題となっています。そのようななかで地域が持続的に発展していくためには、地域内だけで完結するのではなく、国内外から人材や企業、投資、情報を呼び込み、新たな価値を創出していくことが重要になります。長崎が古くから培ってきた「外とつながる力」を現代の地域づくりに生かそうという考え方は、人口減少時代における地域戦略の一つとして大きな意味を持つといえるでしょう。

 再興した長崎内外倶楽部が目指すのは、単なる親睦団体ではありません。企業人や研究者、行政、文化人など多様な人材が集い、学び、対話し、新たな行動につなげる「知的社交クラブ」としての役割を掲げています。国際交流や人材育成、地域課題の解決、新たなビジネスの創出などを視野に入れ、交流を地域の活力へ結び付けることを目指しています。観光や文化芸術、造船、海洋、半導体、医療、カーボンニュートラルといった幅広い分野で交流を促進し、新たな連携が生まれることも期待されています。

ブライアン・バークガフニ名誉教授(長崎総合科学大学)による記念講演の様子(筆者撮影)

 人口減少が進む時代には、一つの企業や組織だけで地域課題を解決することは容易ではありません。異なる立場や専門性を持つ人々が出会い、新しい発想や協力関係が生まれる「場」の存在は、これまで以上に重要になります。長崎内外倶楽部が、長崎の歴史と国際性を受け継ぎながら、新たな人材やビジネス、地域の魅力を育む交流拠点として発展していくことを期待します。

【DATA】長崎内外倶楽部(2026年8月1日現在)

設立総会

日時:2026年8月1日(土)

会場:旧長崎内外クラブ2階(長崎市出島町6-1 出島和蘭商館跡内)

会員数:61名

主な役員・会員(敬称略)

会長

森 拓二郎(株式会社十八親和銀行 顧問)

副会長

嶋崎 真英(長崎自動車株式会社 代表取締役会長 グループCEO)

名誉会員

ジルベルト・ジョルジェ・デ・ソウザ・ジェロニム(駐日ポルトガル共和国特命全権大使)

ヒルス・ベスホー・プルッフ(駐日オランダ王国特命全権大使)

ジュリア・ロングボトム(駐日英国特命全権大使)

特別会員

平田 研(長崎県知事)

鈴木 史朗(長崎市長)

顧問

都倉 俊一(作曲家・第23代文化庁長官)

杉田 亮毅(株式会社日本経済新聞社 名誉顧問)

(2026.8.13 村田 聡)

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