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長崎経済研究所

景況感、足もと悪化も先行き回復へ

~第137 回 県内企業景況調査~

 当研究所では、県内の景気動向を探るため四半期毎に県内企業景況調査を行っています。このほど、2024 年5 月に実施した調査結果を以下のとおりまとめました。
 ご多用のなかご回答頂きました皆様に厚くお礼申し上げます。

 

                    【調査要領】
1.調査目的:県内企業の業況と経営動向の把握および県内景況判断資料の作成
2.調査対象:県内主要企業371社(回答企業数223社、回答率60.1%)
3.調査方法:WEB と郵送を併用しアンケートを実施
4.調査期間:2024年7月30日~8月31日
5.調査対象期間:2024年 4 ~ 6 月期 実   績(前年同期比)
         2024 年 7 ~ 9 月期 実績見込み(前年同期比)
         2024 年 10 ~ 12 月期 見 通 し(前年同期比)
6.調査事項
(1)業況判断(2)売上高 (3)受注残高 (4)在庫水準(5)操業度・稼働率 (6)雇用人員 (7)販売価格 (8)仕入価格(9)採算(経常利益) (10)資金繰り (11)経営上の問題点

7.回答企業属性

概 況 

〇 全産業の業況判断BSIをみると、円安の進行による輸入物価の上昇や、人材確保のための人件費上昇などから、2024年4~6月期実績の△5から足もと7~9月期(実績見込み)は△6に低下した。
もっとも先行き10~12月期は、長崎スタジアムシティ開業効果への期待からプラス4と、県内企業の景況感は観光関連の業種を中心に回復する見通し。
〇 経営上の問題点(3つ以内の複数回答、全産業計)は、「仕入商品又は原材料価格の値上がり」が58.8%でトップ。これに「人材不足」が50.7%、「賃金の上昇」が34.8%で続く。

 

1.業況判断 

 

 全産業の業況判断BSIをみると、円安の進行による輸入物価の上昇や、人材確保のための人件費上昇などから、2024年4~6月期実績の△5から足もと7~9月期(実績見込み)は△6に低下した。もっとも先行き10~12月期は、長崎スタジアムシティ開業効果への期待からプラス4と、県内企業の景況感は観光関連の業種を中心に回復する見通し。

 

(1)製造業

 製造業の業況判断BSIは、24年4~6月期のプラス11から、原材料やエネルギー価格の上昇によるコストの増加により足もと7~9月期見込みはプラス2と大きく低下も、先行き10~12月期見通しは、受注環境の好転期待からプラス11と上昇する。
 このうち電気機械は、資材費や電力料金の値上げなどの諸経費の上昇から4~6期のプラス29から足もと7~9月期見込みは0となるが、先行き10~12月期見通しは受注の好転期待からプラス43と大幅に上昇。食料品は、原材料やエネルギー価格の上昇分の販売への価格転嫁や観光関連の好調もあり、4 ~6月期実績プラス16、足もと(7~9月期)と先行き(10~12月期)ともにプラス25となるなど景況感は堅調に推移する見通し。

(2)非製造業

 非製造業の業況判断BSIは、24年4~6月期実績は△10、足もと7~9月期見込みは △8となるが、先行き10~12月期はプラス2と景況感は回復する見通し。
 このうち運輸業は、4~6月期実績プラス4から7~9月期見込み0と悪化するも、長崎スタジアムシティ開業効果への期待から10~12月期見通しは11と上昇。小売業は、価格対応商品の拡販や在庫適正化の効果から4~6月期実績△16、足もと7~9月期見込み△4、先行き10~12月期見通しプラス8と上昇傾向。

 

2.雇用人員、仕入・販売価格、採算

 全産業の雇用人員のBSIをみると、足もとの見込みが24年7~9月期△46、先行き10~12月期の見通しも△45となり、大幅マイナス(人員不足)が続く。
 全産業の仕入価格のBSIは、資材・原材料費は、4~6月期実績プラス56から、足もと7~9月期の見込みプラス53、先行き10~12月期の見通しプラス51となり、大幅なプラス(上昇>低下)の高止まり傾向が続く。
 一方、全産業の販売価格のBSIは、足もと・先行きはともにプラス33となった。仕入価格の高止まりが続くなか採算確保に向けた価格転嫁が進んでおり、採算BSIは4~6月期実績△14から足もとの見込み7~9月期は△11、先行き10~12月期の見通しは△4と持ち直し。

3.経営上の問題点

 経営上の問題点(3つ以内の複数回答、全産業計)は、「仕入商品又は原材料価格の値上がり」が59.1%でトップ。以下、「人材不足」50.5%、「賃金の上昇」35.0%。前回調査を上回ったのは、「仕入商品又は原材料価格の値上がり」、「賃金の上昇」、「売上げ・受注の不振」であった。
 回答企業からは、「材料費や諸経費が値上がりしている。電力料金の割引廃止による実質的な大幅値上げも、大きく影響している。」(電気機械)、「今期は過去にない米の調達難となっており、なかでも安価な業務米の確保が一番の懸念材料である。」(卸売業)、「物価高の影響による世の中の賃上げ機運や、人材確保の観点から賃上げは実施しているものの、先行きが不透明の中での賃上げは課題である。」(サービス業)などのコメントが寄せられた。

■経営上の問題点(3つ以内 複数回答)

(2024.10.1 泉 猛)

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