■ 調査対象 :県内主要企業366社
■ 調査方法 :WEBと郵送を併用しアンケートを実施
■ 調査期間 :2026年4月27日~5月29日
■ 調査事項 :2026年春の採用実績(人数、初任給)、2027年春の採用計画
■ 回答企業数:製造業32社、非製造業129社、合計161社(回答率44.0%)
このうち「定期的な新卒者の採用は行っていない」とする41社を除いた有効回答企業数は製造業29社、非製造業91社、合計120社(回答率32.8%)
※端数処理の関係で内訳の計は必ずしも100%にならない
1.今春の新卒者採用状況 ―回答企業の約半数が採用実施、採用者数は前年を上回る―
(1)採用実施企業の割合 ― 採用実施が47.8%―
調査回答企業161社のうち、今春新卒者を採用したのは77社で、全体の47.8%と前年同期調査(同159社のうち71社、44.7%)を3.1ポイント上回った。
内訳をみると、「前年より増やした」は32社で19.9%、「前年並みに採用」は30社で18.6%、合わせて62社、38.5%が ‘前年並み以上’ に採用した。これは前年同期調査(34.6%)より3.9ポイントの上昇となる。
一方、「前年より減らした(応募が少なかった)」と「今年は応募が無く、採用できなかった」を合わせた ‘計画通りに採用できなかった’ 企業は37社、23.0%で前年同期調査(25.7%)よりも2.7ポイント低下した(図表1)。
図表1 2026年春新卒者採用状況(前年同期調査との比較)

(2)採用者数 ―前年比20.4%増―
今春新卒者を採用した企業77社の採用者数は514人で前年実績(427人)を87人、20.4%上回った。
学歴別内訳は、大学院卒50人、構成比9.7%、大卒151人、同29.4%、短大・高専卒52人、同10.1%、高校卒261人、同50.8%となっている。
業種別にみると、製造業全体は239人採用で、前年実績比25.1%の大幅増となった。輸送機械、一般機械、電気機械、食料品のいずれも増加した。一方、非製造業は275人採用、同16.5%増となった。運輸、水産、小売、サービスは増加、建設は減少した。
学歴別にみると、いずれも増加している。
企業規模別にみると、大企業はいずれの学歴も増加し全体でも大幅増加。中小企業は大学院卒を除いて増加し全体でも増加した(図表2)。
図表2 規模別・業種別にみた採用人数

図表3 大企業と中小企業の区分

(3)初任給 ―大卒は前年比約1万2千円、高校卒は約7千円の上昇―
初任給額(前年と今年を比較可能な回答の単純平均)をみると、大卒が236,764円で前年実績比12,062円増(5.4%増)、短大・高専卒が217,500円で同10,000円増(4.8%増)、高校卒が193,574円で同6,867円増(3.7%増)といずれも前年を上回った(※)(図表4)。
※大学院卒は、前年と今年を比較可能な回答が僅少であるためコメントしない。
図表4 規模別・業種別にみた学歴別初任給

2.来春の採用計画 ―約8割が ‘今年並み以上’ を計画―
有効回答企業120社のうち2027年春の採用計画について回答があった111社の計画をみると、「採用する」とした企業は88.3%で、前年同期調査(87.5%)比0.8ポイント上昇し依然として高水準にある(図表5)。
図表5 2027年春の採用計画(前年同期調査との比較)

採用方針の内訳をみると、「今年より増やす」(35.1%)と「今年並み」(45.9%)を合わせた ‘今年並み以上’ を計画している企業の割合は81.0%。前年同期調査(84.6%)を3.6ポイント下回ってはいるものの、8割台の高水準にある。その一方で、「今年より減らす」(7.2%)と「今年は採用したが来年はしない」(3.6%)という採用数を ‘減らす’ 企業の割合が10.8%と5期ぶりに1割を超えた(※)。これらのことから、全体として採用意欲は引き続き高いものの、これまでの積極姿勢に若干の変化も感じられる。
これを業種別にみると、 ‘今年並み以上’ は、製造業78.6%、非製造業81.9%、企業規模別にみても、大企業87.6%、中小企業80.0%と、いずれも高水準にある(図表5、6)。
※2021年春の調査において翌2022年春の計画を尋ねた際の‘減らす’企業の割合が20.6%。
図表6 2027年春の採用予定(新卒採用を行っていない企業を除く)

ここまでみてきたように、2026年春の新卒採用にあたっては、 ‘前年並み以上’に 採用した企業の割合は前年調査を上回り、採用数および初任給が増加した。全国的に深刻な人手不足が続くなか、長崎県内企業においても欲しい人材を確保したいという積極的な姿勢が表れている。
そのようななか、 ‘計画通りに採用できなかった’ 企業も2割程度あり、人材不足の状況は続いている。同時に実施した「第144回 県内企業景況調査」においても、雇用人員の不足感は強く経営上の重要な課題とされている。
このような雇用情勢を反映して、2027年度においても ‘今年並み以上’ の採用を計画している企業が約8割にのぼっており、中東情勢の不安定化などにより経済の見通しがみえにくいなかでも、採用意欲は高い水準が続くものとみられる。
ただし、来春の採用を‘減らす’企業が増えており、「景況調査」においても経営上の課題として「賃金の上昇」が上位にあることから、賃上げ疲れが採用姿勢にいくばくかの影響を与えていることもうかがえる。
(2026.6.9 宮崎 繁樹)